「駆け込み寺」「いつか事故はあるんじゃ」保護者によって変わる印象 認可外保育施設で乳児死亡 園内では何が…
RBC琉球放送 2022/8/10(水) 19:46配信
先月30日に、那覇市内の認可外保育施設で生後3か月の乳児が心肺停止の状態になり、その後死亡しました。乳児を預かっていた緑のすず乃保育園では何が起きていたのか。亡くなった乳児の保護者や以前に緑のすず乃保育園を利用していた人たちを取材しました。
Q今回報道されている件は聞きましたか?
緑のすず乃保育園を利用していた保護者
「聞きましたよ。最初分からなくて、園の方から急に7月31日の夜に連絡が来て『8月から休園』て言われて、『何があったんですか?』って聞いたら『今はお答えできない』だったんで。だからもう心配じゃないですか、(子どもを)預けていたから。」
那覇市内の認可外保育施設「緑のすず乃保育園」。先月30日、生後3か月の男の子が、何らかの理由で心肺停止状態となり、その後亡くなりました。
捜査関係者などによると、乳児に目立ったけがは無く、当時は保育士資格を持つ園長と資格を持たない職員の2人で、11人の園児を預かっていたということです。
亡くなった男の子の保護者は、当時の状況を次のように話しています。
亡くなった男の子の保護者のコメント(RBCの取材に対し)
「園に息子を迎えに行ったら、息子は目と口が開いていて、舌が固まっていました。素人の私でも亡くなっているとわかる状態の息子を、園長は『横向きにしていたのでちょっと冷たいんですけど』と言いながら渡してきました。園長は救急隊が到着するまでの間も息子の足を触って『ほら、ここあったかいですよ』と、体温があるから大丈夫だという事をしきりにアピールしていました。」
園は死亡事故などが起きた場合、児童福祉法に基づいて速やかに市に報告する義務がありますが、市によると園からの報告はありませんでした。
RBCの取材に対して保育園側は…
緑のすず乃保育園の関係者
「体調の変化にもっと早く気づければ助けられたかもしれない。遺族と死亡した乳児に対し申し訳ない気持ちでいっぱい。一生償っていく。」
園側が反省の意思を示す一方で、保育環境がどうだったかなど明らかになっていないことも多い今回の問題。那覇市が去年実施した緑のすず乃保育園への立ち入り調査では、「乳幼児突然死症候群」の対策の不足など、12の項目で改善を求められていました。
乳児を預かる責任の重さについて、那覇市内の認可外保育施設の関係者は次のようし話しています。
市内の別の認可外保育施設関係者
「運営する側だって経営する側だって事故が起きたら自分自身もう何の言い訳もできない。お詫びのしようがないんだから。それだけは避けたい。うちでは10分おきにSIDS(乳幼児突然死症候群)全部チェックさせてるし、大変ですよそれは、10分おきに見てチェックしてまわるっていうのは夜中に。けどそれは絶対しないといけない。」
大変な作業であっても、命を預かる者の責任として、それを怠ることは無いと話すこちらの男性。緑のすず乃保育園はどのような管理体制がとられていたのでしょうか。以前にこどもを預けていたという保護者に、園の様子について聞いてみると…
以前に緑のすず乃保育園を利用した保護者
「小学生の子とかもたくさんいて、かたや生まれたての小さい子とかもたくさんいたので、多分(子どもの)人数に対して大人の目が少ないのかなっていうところはありました。ちょっと薄暗くて、例えば今回みたいなことがあった時に顔色もわからないくらいの暗さなので、いつか何か事故はあるんじゃないかなというのは正直ありましたね。」
一方でこんな声も…
先月まで緑のすず乃保育園を利用していた保護者
「でも先生優しかったです。子どもに意地悪するような先生ではなかったし、うちの子が(他の)子どもに意地悪する時とかに『最近おうちでどうですか?』って、ちゃんと子どもの性格とか園での特徴とかも教えてくれて。」
利用者によって異なる印象。料金や運営時間などを独自で設定することができる認可外の保育施設は、利用者にとってどのような存在なのでしょうか。
以前に緑のすず乃保育園を利用した保護者
「シングルマザーとか夜のお仕事をされている方とかは本当に助かる金額設定ではあるかなと思うのと同時に、ちゃんと必要なところにお金をあてているのかなというのは気になりました。」
先月まで緑のすず乃保育園を利用した保護者
「世間的には夜働くのってイメージ悪いけど、正直夜勤の方が給料良いとかあるし、(認可外は)駆け込み寺じゃないけど、国が認可にこだわらないで、24時間対応してくれるところにもっと支援してあげられたらこんな風にならなかったのかなって思いました。」
保育環境を疑問視する声がある一方で、夜間保育などに幅広く対応してきた緑のすず乃保育園。亡くなった乳児に何が起きたのか、原因究明が急がれます。
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乳児死亡の保育園が廃止 経営難で 園長「責任を受け止める」
沖縄タイムス 2022/9/1(木) 8:48配信
那覇市楚辺の認可外保育園「緑のすず乃保育園」で一時預かりの生後3カ月の男児が心肺停止の状態で見つかり死亡した問題で、市は31日までに、同園の廃止届け出を受け付けたと発表した。
同園は事故翌日の7月31日から休園していた。園長の女性は8月29日、市職員と面談し「経営や運営状況が厳しい」などを理由に廃止を届け出た。
園長は沖縄タイムスの取材に「改めて亡くなった男児や遺族に対して申し訳なく思っている。今後も責任を受け止め、逃げることなく生きていく」と話した。
他府県の事例などを参考に、市は事故の検証を検討している。