療育NPO理事長ら、起訴内容認める 「米国映画の拷問、参考に」

療育NPO理事長ら、起訴内容認める 「米国映画の拷問、参考に」
毎日新聞 2022/9/26(月) 20:06配信

 障害のある男子中学生を「療育」と称して脅し、監禁したなどとして逮捕監禁罪に問われた障害者支援のNPO法人「さるく」(福岡市)の理事長、坂上慎一(57)=同市早良区=と小学校教諭、松原宏(37)=福岡県篠栗町=の両被告は26日、福岡地裁(伊藤寛樹裁判官)で開かれた初公判で、いずれも起訴内容を認めた。弁護側も争わない姿勢を示した。

 検察側は冒頭陳述で、坂上被告が障害児の問題行動を短期間で改善するため「『レスキュー』と称して拘束、脅迫するなどし、恐怖心を植え付ける手法を考案した」と指摘。友人の物を盗むなど、中学生の行動に悩んでいた母親から依頼を受けて犯行に及んだとした。証拠調べでは「米国の映画の拷問シーンを見て、参考にした」とする坂上被告の供述調書も読み上げた。

 また、松原被告については、小学校で特別支援学級を担当し、2018年ごろから坂上被告に療育について相談していたと説明。坂上被告は松原被告を後継者として指導し、19年ごろから活動に同行させていたという。

 起訴状などによると、両被告は共謀し21年10月9日午前0時15分ごろ、長崎県の自宅で寝ていた当時中学生で14歳だった男性の手足を結束バンドで縛るなどして拘束。頭に袋状のものをかぶせて園芸用の鋼管で殴るなどして車に乗せ、福岡県内の山道で「ここに捨てていくぞ」と脅すなどした後、同県久留米市の障害者施設「くるめさるく」まで連行、同日午前3時半ごろまで監禁したとしている。

 坂上被告は旧姓の「長瀬」名義で活動し、ホームページで「発達障害の子供と保護者の最後のとりで」などと宣伝していた。福岡県警は9月8日、別の中学生への逮捕監禁容疑で坂上被告を再逮捕し、捜査を進めている。【佐藤緑平】

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