大津いじめ自殺11年 遺族「息子が作った法律、子どもを守れていない」
京都新聞 2022/10/11(火) 20:39配信
2011年に=が同級生からのいじめを苦に自殺してから11年となる11日、父親(57)が同市内で会見した。この事件を機に生まれた「いじめ防止対策推進法」が来年6月で制定10年を迎えることに触れ、実効性に乏しいとして法改正を訴えた。
「息子が命がけで作った法律が、子どもを守れていない。変わらぬ現状を目の当たりにして悔しくて残念でならない。それが命日に私と息子が思うこと」
父親は冒頭、ため息をついた。やで発覚した事案を例に挙げ、今もなお、いじめを苦に自殺する子どもが相次いでおり、学校や教育委員会の対応に問題があると指摘した。は、市長や滋賀県教委に報告していなかった市教委の対応を疑問視した。
その上で、いじめ防止対策推進法について「(教委や学校側が)容易に隠蔽(いんぺい)でき、よほどのことがないと個人の責任は問われない。子どもの立場から作られた法律ではなく、教育関係者を守るための法律だった」と強調。第三者委員会が立ち上がらない、資料が提出されないといった課題の改善に向けて法律を変えるよう改めて訴えた。
子どもと触れ合う時間をつくれないことでいじめの訴えを見逃してしまう恐れがあるとの観点から、教師の労働環境改善の必要性に言及し、「11年前から言っていたのに、いまだに解消されない」と嘆いた。
今いじめをしている子どもに対する思いも吐露し、「人を傷つけるために生まれたわけじゃない。いじめは人を死に追いやる行為。今すぐやめて」と呼びかけた。
父親の代理人を務め、旭川市のいじめ事案にも関わる滋賀弁護士会の石田達也弁護士は、いじめの認知に対する旭川市の姿勢を問題視し、自治体間格差を埋めるためにも法改正が必要だと提起した。
■校内放送「自分以外の誰かのために」
男子生徒が通っていた大津市の中学校では11日朝、「命を思う集い」が開かれた。全校生徒約800人が各教室で、各学年の代表が人権学習などを通して考えた命の尊さについて発表する映像を視聴し、校長が「大きくなったら、自分のためだけでなく自分以外の誰かのためにも命を使ってほしい」と校内放送で呼びかけた。