三重大病院元教授に有罪判決 薬剤納入で供賄と詐欺罪 地裁判決
毎日新聞 2023/1/19(木) 19:22配信
三重大付属病院への薬剤などの納入に便宜を図る見返りに現金を受け取ったなどとして、第三者供賄罪と詐欺罪に問われた同病院臨床麻酔部元教授の亀井政孝被告(56)に、津地裁(柴田誠裁判長)は19日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑・懲役4年)、亀井被告が代表を務める一般社団法人には求刑通り、追徴金200万円の有罪判決を言い渡した。
判決によると、2018年3月、小野薬品工業(大阪市)の薬剤を多数発注する見返りに三重大の口座に200万円を振り込ませたほか、元准教授(有罪確定)と共謀して薬剤を投与したように装い、診療報酬計約81万円を詐取した。また19年8月には元講師(同)と共謀して、生体情報モニターなどを「日本光電工業」(東京都)製に取り換える見返りに、代表を務める一般社団法人の口座に200万円を振り込ませた。
判決は、小野薬品を巡る第三者供賄罪について「担当者と被告の間で寄付と薬剤の処方とが密接に関連付けられていたことは明らか」と指摘。その上で「寄付金を獲得するために処方量を増やし、職務の公正さや社会の信頼を害した程度は大きい」と非難した。
亀井被告は、小野薬品からの振り込みは「正当な手続きを経た上での寄付だった」として賄賂性を否定。診療報酬の詐取についても無罪を主張していた。
三重大付属病院の池田智明病院長は「有罪判決を真摯(しんし)に受け止め、信用を失墜したことを深くおわびする」とのコメントを出した。一連の事件では、小野薬品と日本光電の担当者5人も贈賄罪での有罪が確定している。【寺原多恵子】