特選の「自由研究」作品紛失?中学校から返却されず精神的苦痛 元生徒らが訴えた裁判、市に2万円支払い命令 兵庫・洲本

特選の「自由研究」作品紛失?中学校から返却されず精神的苦痛 元生徒らが訴えた裁判、市に2万円支払い命令 兵庫・洲本
神戸新聞NEXT 2023/2/11(土) 8:00配信

 返却されなかった自由研究はなくなっていた−。兵庫県洲本市の中学校に提出した夏休みの自由研究を教員に紛失されるなど精神的苦痛を受けたとして、元生徒の20代のきょうだいと両親が市に計2千万円の損害賠償を求めた裁判の判決が10日、神戸地裁であった。後藤慶一郎裁判長は「廃棄などの処分がされたと考えるのが自然」などと学校の過失を認め、計2万円の支払いを命じた。

 判決などによると、長女と弟の長男が通った中学校では、夏休みに理科の自由研究を課題として実施している。特選となった作品は、市内商業施設などで展示後、後輩の参考のために保管され、それ以外は返却されていた。

 2人の作品は特選の表彰を受けた。在学中に返却を求めたがかなわず、卒業後の2018年に母親が学校に返却を依頼した。学校側は長男の1作品しか返さず、他の作品は見つからなかった。

 裁判で市側は「生徒は教育上の観点から作品を無償提供し、所有権は中学校にある」と主張し、紛失や処分をしてもきょうだいらの所有権を侵害したことにはならないと訴えた。

 後藤裁判長はこの点について「法的根拠は見当たらず無償の提供行為としがたい」と指摘。作品の紛失、廃棄はきょうだいの所有権の侵害に当たり「過失によって違法に損害を加えた」と認定した。その上で「力を注いで作成した作品が紛失等に遭い、現在も経緯や責任の所在が解明されていない」などと2人の精神的苦痛を認めた。

 判決を受け、洲本市教委は「内容を精査し、今後の対応を検討したい」としている。

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