取材対応して解雇は「権利の乱用」保育園長に賃金仮払い命令 福岡地裁久留米支部

取材対応して解雇は「権利の乱用」保育園長に賃金仮払い命令 福岡地裁久留米支部
西日本新聞 2023/4/11(火) 10:10配信

 福岡県久留米市の社会福祉法人が、西日本新聞の取材に応じたことなどを理由に、運営する認可保育所の60代女性園長を解雇した問題で、女性が園長としての地位保全や賃金の支払いを法人に求めた仮処分申し立てに対し、地裁久留米支部(岸本寛成裁判官)が解雇を「権利の濫用(らんよう)」として、月32万4600円の仮払いを法人側に命じる決定を出していたことが分かった。

 決定は3月29日付。それによると、女性は2017年4月から園長として勤務し、昨年9月に解雇通知書を受け取った。通知書には複数の解雇理由が挙げられており、その一つに、報道機関に情報提供したとする内容が記されていた。

 岸本裁判官は、報道機関への内部告発について「法人の就業規則に抵触する」と認めながら、「社会福祉法人内での内紛は社会的関心事であり、解雇に合理的理由はなく、社会通念上相当とは認められない」と判断した。

 法人を巡っては、理事長が理事会の決議を経ずに後任の理事長選定を仲介業者に依頼した経緯について、本紙が複数の関係者に取材して確認。選定の手続きが公益性の高い福祉施設の運営適正化を図る社会福祉法の趣旨に反する恐れがあることを昨年6月14日付の朝刊で報じていた。

 (木村知寛)

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