学校法人理事の罰則新設、改正私学法が可決・成立 日大事件など不祥事受け
産経新聞 2023/4/26(水) 12:55配信
学校法人のガバナンス(組織統治)を強化する改正私立学校法が26日、参院本会議で可決、成立した。日本大幹部の背任・脱税事件など、私立大を巡る不祥事が近年相次いだことから、理事らの背任行為や贈収賄に新たな罰則を設けることなどが柱。評議員会には理事の解任請求権などを与えて監視機能を高める。令和7年4月に施行される。
新たな罰則のうち、理事らの特別背任罪は7年以下の拘禁刑(懲役・禁錮を統合し25年までに新設される刑罰)か500万円以下の罰金、またはその両方を科す内容。刑法の背任罪よりも法定刑は重くなる。贈収賄や目的外の投機取引、不正な認可取得も拘禁刑などを科す。
理事会の諮問機関に位置付けられ法人を監視・監督する評議員会には、理事が辞職を拒否した場合を想定して新たに解任請求権を付与。ガバナンス強化の観点から理事と評議員の兼任は禁じる。さらに、大学や短大を運営する法人の場合には、合併・解散といった重要事項に関して評議員会の議決が必要になる。
私大のガバナンス強化を巡っては当初、文部科学省が設置した専門家会議が、法人の最高機関を理事会から学外者による評議員会に変更し、理事の選任や解任など権限を強化する案を提言。しかし、私学団体からは「学外評議員だけでは法人運営の責任は取れない」などの批判が出たため、文科省が別の会議体を立ち上げて検討を進め、理事会を最高機関に位置付けたまま評議員会の監督機能を強化することで意見がまとまった。