殺人容疑の中学教諭、被害者と顔見知りか?逮捕の決め手「歩容認証システム」とは?小川泰平氏が解説
デイリースポーツ 2023/5/12(金) 21:30配信
東京都江戸川区の住宅で今年2月24日、60代の住人男性を殺害したとして、同区立中学校教諭の尾本幸祐容疑者(36)が10日、警視庁捜査1課に殺人容疑で逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は12日、デイリースポーツの取材に対し、尾本容疑者が被害者と顔見知りであった可能性や、今回の逮捕につながった「歩容認証システム」について解説した。
同容疑者は事件当日午後に休暇を取得していながら、退勤記録が夜だったことも判明。アリバイ工作をしたことも指摘されている。
小川氏は「事件現場の周辺を回りましたが、この被害者宅は泥棒に入られやすい場所でなく、通りに面して両隣に家もあって周囲の目もあるため、入りにくい家です。奥には人目が付き難い住宅があるにもかかわらず、この家に侵入したということは、この被害者宅にある程度まとまったお金があるという前提で入ったのではないかと思います。どこでもいいから泥棒に入ったということではないでしょう」と、いわゆる“流し”の犯行ではない可能性を指摘した。
その上で、同氏は「どの程度が分かりませんが、容疑者は被害者と顔見知りで、全く知らない人ではなかったということが言えます」と指摘した。
また、防犯カメラの映像では黒ずくめの服を着ていた尾本容疑者だが、どのように特定されたのだろうか。
小川氏は「防犯カメラの映像と容疑者の日頃の映像を『歩容認証』システムで照合した可能性が強いと思われます」と指摘した。
同氏は「これまでの『顔認証』システムだと、高感度のカメラでも10メートルくらい近づいていないと判別が難しい。しかも、コロナ禍以来、マスクをしている人が多いので精度が落ちます。その点、『歩容認証』システムは、距離が離れていても、顔を隠していても、歩く姿が映っていれば、その姿勢や歩幅、腕の振り方の特徴を分析し、歩くシルエットを他の映像と比較することで、顔が判別していなくても個人認識が可能になります。最新のシステムでは2歩だけ、つまり1・5メートルほど歩いた映像でも、本人が特定できる。一定の条件下で誤りが出る確率は0・1%で、かなりの確率で特定できます」と補足した。
その上で、小川氏は「唯一の証拠が『歩容認証』だけで逮捕するとは思えない。被害者宅の室内にある土足痕の一致などで、否認や黙秘をする前提の上で逮捕したと思います」と指摘した。
今後の捜査ポイントについて、小川氏は「動機はもちろんですが、尾本容疑者と被害者との関係性、お金の流れ、遺留品の捜索発見等になります」と解説した。