教員のコロナ在宅勤務を欠勤扱い、大阪市に賠償命令 大阪地裁
産経新聞 2023/5/17(水) 19:36配信
新型コロナウイルスの感染拡大中に海外から帰国した大阪市立中学校の元男性教諭が、感染の可能性を考慮して在宅勤務をしたのに欠勤と扱われ、減給や評価を下げられたのは違法だとして、市に約114万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、大阪地裁であった。横田昌紀裁判長は、在宅勤務を認めなかったことは「著しく妥当性を欠く」として、市に9万4千円の賠償を命じた。
判決によると、中学教諭だった松田幹雄さん(67)は、感染拡大初期の令和2年3月中旬、スイスを訪問し帰国。感染の可能性があるとして勤務先に在宅勤務を希望したところ、校長から「自宅での研修は原則認められない」とする教育委員会の判断を受けて出勤を求められた。松田さんがこれを拒んだ結果、在宅の8日間は欠勤扱いとなった。
判決理由で横田裁判長は「社会情勢などの事情を考慮せず、形式的に基準を適用した市教委の見解に依拠した」と校長の判断を批判。「例外的に自宅での研修を検討する必要があった」として違法と認定した。一方、学校側も他の職員との接触がない部屋を用意し、安全に配慮したことを踏まえて賠償額を減額した。