「日本版DBS」有識者会議が報告書 一部盗撮・痴漢行為も対象

「日本版DBS」有識者会議が報告書 一部盗撮・痴漢行為も対象
産経新聞 2023/9/5(火) 20:08配信

子供と接する職業に就こうとする人に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」について、制度の在り方を検討してきた有識者会議は5日、学校や保育所を確認義務の対象とすることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。犯歴は不同意わいせつ罪などの前科が該当し、盗撮や痴漢行為の一部も含むとした。

報告書では冒頭、「子供への性暴力は性的知識の未熟さなどに乗じて行われ、一度発生すると継続する可能性が高いと考えられる」と指摘。「教育や保育などの場で、未然防止の仕組みが必要」とし、日本版DBS導入の必要性を強調した。

個別の論点として、確認対象とする事業者や業務の範囲について明記。学校や認定こども園、保育所、児童養護施設、障害児入所施設などは確認の義務を負う事業者とした一方、学習塾や予備校、スイミングクラブ、タレント養成所など民間事業者は任意での利用が妥当とした。

また、任意利用し、子供を守るための安全措置を講じた事業者を国が認定する制度の創設も提唱。保護者ら外部向けに公表するよう求めた。

対象業務では、教職員ら学校関連や保育・養護関連などを想定。雇用関係がない派遣労働者や業務委託先なども含めるべきだとの見方を示した。

確認対象の性犯罪歴では、刑事裁判で有罪判決を受けて確定した経歴を示す「前科」とするべきだとし、被害者の年齢は18歳未満に限らず成人も含めるのが適当とした。

盗撮や痴漢などを違反行為として規定している迷惑防止条例については、都道府県ごとに内容が異なるなどとして「対象とするには技術的課題があり、更に検討を要する」と説明。ただ、刑法の不同意わいせつ罪に該当するような痴漢行為は、捕捉可能と指摘し、盗撮も今年7月施行の「性的姿態撮影処罰法」の範囲で拾い上げが可能との見方を示した。

罰則をめぐっては、確認義務に違反した事業者を公表することなどを含め何らかのペナルティーを設けることも求めた。

こども家庭庁は報告書を基に、秋の臨時国会に関連法案を提出する予定。

【日本版DBS】英国の制度「DBS」(Disclosure and Barring Service)を参考に、こども家庭庁が導入に向けた議論を進めている。ベビーシッター仲介サイトに登録した男2人が令和2年、逮捕された事件をきっかけに導入を求める機運が高まり、子育て支援団体や保護者が政府に創設を求めていた。

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