広島県教委、不登校対策でも赤木かん子氏の助言 教育長と関係深い児童文学評論家 「専門外」での起用に疑問の声
中国新聞デジタル 2023/9/27(水) 7:13配信
広島県教委が2019〜22年度、学校図書館リニューアル事業の指導や助言を依頼していた児童文学評論家の赤木かん子氏(東京)に、不登校対策でもアドバイスを受けていたことが26日、分かった。関連の謝金と旅費は少なくとも20万円に上る。県教委は適正な支出と説明するが、県議の一部は「専門分野ではない事業への起用」として疑問視している。
中国新聞の情報開示請求に対し、県教委が赤木氏との取引を巡る資料を公開した。県教委が22年度までに支払った計646万円には、図書館リニューアルのほか、不登校対策も含まれていたことが判明した。
資料によると、県教委は19年9月、広島県福山市での「スペシャルサポートルーム(SSR)」と呼ばれる不登校生向けの教室の整備に向けた指導や助言を赤木氏に依頼。謝金1万1200円を支払った。
22年3、4月には4回にわたり、県立教育センター(同県東広島市)への不登校生たち向けの支援拠点「SCHOOL“S”(スクールエス)」の整備で計18万3870円の謝金と旅費を支出。21年12月にも同センターの廊下の壁紙改修に絡んで謝金と旅費計7440円を払っていた。
謝金は県の規定に基づき、大学教授への講演依頼などと同等の扱いで1時間5600〜5750円だった。旅費は一般職員の支給額に準じた。
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広島県教委と赤木かん子氏の関係で、一番アレな過去記事はこれ
広島県教委は21日に公表した内部調査結果で、県立学校の図書館リニューアル事業の指導を依頼している児童文学評論家の赤木かん子氏(東京)との取引に「違法性はない」と結論付けた。ただ、赤木氏が関わった15校で、改装に伴い11万冊余りの蔵書を廃棄。学校現場からは、代わりに小学生向けの赤木氏の著書を購入させられたなどといった不満の声が出ている。
県教委は2018〜22年度、県立高22校などで図書館をリニューアルした。改装後、来館者数が増えた▽本を活用して調べる生徒が増えた▽授業での利用が増えた―と評価する学校もある。平川理恵教育長は「学校を変える一つの方法として有効だ」と成果を強調している。
県教委は、赤木氏が関わった15校で11万1490冊を廃棄したと説明する。代わりに購入したのは1万3千冊。各校とも赤木氏が作成したリストから本を買った。その中には自身の著書で小学生向けの本や紙芝居もあったという。
県教委は「どの本を買うかは最終的に校長が決める」とする。しかし県西部の男性教員は「小学生向けの本は高校生には合わない。県教委に相談したが、買うように言われた」と証言する。別の県西部の男性教員は「赤木氏の指示に従って廃棄した本の中には、古くても良書があった。本当に捨てていいのか最後まで迷った」と残念がる。
県教委はリニューアル事業を始める際に「赤木氏を含む4者を比較検討した」と説明している。ただ、赤木氏は平川氏と10年来の知人で、比較した業者は明らかにされていない。
広島県教委によるNPO法人との契約が法令違反と指摘された問題で、同法人と同じく平川理恵教育長との親しい関係が指摘されていた別の業者と個人の取引に関する県教委の調査報告書がまとまったことが20日、分かった。指導・助言への謝金や旅費を計1068万円支払うなどしていたが、法令違反はなかったと結論付けた。平川氏は問題を受け、給料の一部を自主返納する方向だ。
県教委は昨年12月、平川氏に絡む不適切な契約などの有無を内部調査する方針を表明。社長を自宅に泊めていた教育コンサルタントのキャリアリンク(大阪市)と、平川氏が横浜市の公立中校長だった時代から関係がある児童文学評論家の赤木かん子氏(東京)が対象になっていた。
複数の関係者によると、キャリアリンクとは2019〜22年度、教員研修など12件計3974万円分を委託契約。うち8件が随意契約で、その半数の4件は県規則で入札が必要な100万円を超す事業だったが「極めて個性の強い業務」であり随契でも問題はないなどとした。残る一般競争入札4件にも法令違反はないとした。
同社社長と社員には、県教委の事業に対する助言などで19〜22年度に謝金と旅費の計422万円を支出。赤木氏には県立学校の図書館リニューアルの助言などに18〜22年度に謝金と旅費の計646万円を支出。謝金は県の規定に基づき1時間5500〜5750円を支払い、旅費は一般職員の支給額に準じた。
県教委の委託契約を巡っては、NPO法人との契約2件が地方自治法違反や官製談合防止法違反と外部専門家に指摘された。
平川氏は問題を受け、給料の一部を自主返納する意向だ。不適切な契約に関わった職員1人は懲戒処分する方針。県教委は21日にも調査結果や処分内容を公表する。