「教育長が『押し』のプログラム」 広島県教育長が親交業者との契約「指示」か 教員研修巡り職員間のメールに記載

「教育長が『押し』のプログラム」 広島県教育長が親交業者との契約「指示」か 教員研修巡り職員間のメールに記載
中国新聞デジタル 2023/11/22(水) 7:00配信

 広島県教委による教育コンサルタントのキャリアリンク(大阪市)との契約を巡り、同社社長と親交のある平川理恵教育長が入札前に、同社が手がける教員研修を取り入れるよう指示したとする職員間のメールが残っていたことが21日、中国新聞の情報公開請求で分かった。平川教育長は特定の業者への契約の指示を否定しているが、職員が指示と受け止めて手続きを進めた実態が明らかになった。

■社長を自宅にも泊める間柄
 県教委は2月、同社との取引で法令違反はないとする内部調査の報告書を公表。中国新聞の情報公開請求に対し、関連資料を開示した。

 資料によると、2020年度の教員向けの研修事業の業者選定で、職員が入札前の20年1〜2月、同社が手がけるプログラムを「研修に取り入れるよう教育長から採用研修係へ指示があった」と別の職員にメールを送っていた。「教育長が『押し』のプログラムだ」とし、平川教育長から「プログラムを入れろ」と促されたとも記述していた。

 その後、平川教育長の紹介で担当職員が同社と連絡を取り、同社への発注を想定して研修日程を組んだ。県教委は入札に唯一参加した同社と委託契約を結んだ。

 平川教育長は同社の社長と親しく、自宅にも泊める間柄だった。資料によると、複数の事業で入札前に平川教育長と社長が直接連絡を取り、事業の日程を調整していた。

 平川教育長は同社を職員に紹介したことは認めているものの発注の指示は否定しており、入札手続きに問題はないと説明してきた。

 広島県教委によるNPO法人との契約が法令違反と指摘された問題で、同法人と同じく平川理恵教育長との親しい関係が指摘されていた別の業者と個人の取引に関する県教委の調査報告書がまとまったことが20日、分かった。指導・助言への謝金や旅費を計1068万円支払うなどしていたが、法令違反はなかったと結論付けた。平川氏は問題を受け、給料の一部を自主返納する方向だ。
 県教委は昨年12月、平川氏に絡む不適切な契約などの有無を内部調査する方針を表明。社長を自宅に泊めていた教育コンサルタントのキャリアリンク(大阪市)と、平川氏が横浜市の公立中校長だった時代から関係がある児童文学評論家の赤木かん子氏(東京)が対象になっていた。
 複数の関係者によると、キャリアリンクとは2019〜22年度、教員研修など12件計3974万円分を委託契約。うち8件が随意契約で、その半数の4件は県規則で入札が必要な100万円を超す事業だったが「極めて個性の強い業務」であり随契でも問題はないなどとした。残る一般競争入札4件にも法令違反はないとした。
 同社社長と社員には、県教委の事業に対する助言などで19〜22年度に謝金と旅費の計422万円を支出。赤木氏には県立学校の図書館リニューアルの助言などに18〜22年度に謝金と旅費の計646万円を支出。謝金は県の規定に基づき1時間5500〜5750円を支払い、旅費は一般職員の支給額に準じた。
 県教委の委託契約を巡っては、NPO法人との契約2件が地方自治法違反や官製談合防止法違反と外部専門家に指摘された。
 平川氏は問題を受け、給料の一部を自主返納する意向だ。不適切な契約に関わった職員1人は懲戒処分する方針。県教委は21日にも調査結果や処分内容を公表する。

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