滋賀・野洲の中学いじめ 第三者委「危機意識の低さ」 報告書公表

滋賀・野洲の中学いじめ 第三者委「危機意識の低さ」 報告書公表
毎日新聞 2023/11/23(木) 10:30配信

 滋賀県野洲市立中学校で「いじめ重大事態」が発生した問題で、市教委は22日、第三者委員会(委員長・野洲和博弁護士)がまとめた調査報告書を公表した。それによると、この中学校では昨年度から生徒の暴力行為が課題になっていたといい、第三者委は「いじめに対する危機意識の低さがあった」などと指摘した。【村瀬優子】

 報告書によると、今年4月28日、昼休みに廊下にいた1年の男子生徒に対し、2年の男子生徒6人がほおをつねったり、理科室に引っ張り込んで、倒れたところを蹴ったりする約5分間の暴行があった。男子生徒は頭を打ち病院に搬送されたが軽傷で、不登校には至っていないという。

 事案の報告を受けた市教委は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」と認定。第三者委が5回の会合を経て報告書をまとめた。

 報告書では、学校による生徒らの聞き取りなどを基に、被害生徒へのいじめが継続して起きていたとは認められないと結論付けた。一方、事案の発生を受けて学校が全校生徒に実施したアンケートでは多くの生徒が「一部の男子を中心に日常的な暴力があった」という趣旨の回答をしていた。また、学校は昨年度から生徒の暴力を課題として認識し、指導や校内の見守り活動などをしていたが、この日は体制が手薄だったとした。事案が発生した理科室では、前方で教諭が他の生徒らに囲まれて授業の準備をしていたが、後方で起きていた暴行には気付かなかったという。

 第三者委は「教委や学校が十分な危機感を持って(いじめ防止に)取り組んできたとは言い難い」と指摘。再発防止策として▽外部カウンセラーによる生徒らへのカウンセリングの実施▽見守りに穴を生じさせない学校運営▽地域社会を巻き込んだ見守り体制の構築――などを挙げた。

 被害生徒の保護者は「二度とこのようなことが起こらないようにしてほしい。報告書について異議はなく、学校や教委に重大なことと捉えて対応してもらって良かった」とする意見書を提出した。

 野洲市では昨年、市立小で教員による児童へのいじめが相次いでいたことが発覚し、再発防止に力を入れるとしていた。この日、記者会見した西村健教育長は「学校での『絆作り』が弱かった。課題や改善策にしっかり向き合い、子供たちが安心して学校生活を送れるように努めたい」と話した。

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