「客観的状況以外の検討なく結論を導き出したもので不合理」札幌高裁一審判決を破棄 帯広市教師殺害控訴審
HTB北海道ニュース 2024/1/11(木) 16:24配信
北海道・帯広市で元同僚の女性教師を殺害したなどの罪に問われた男に対する控訴審の判決公判が11日に開かれました。札幌高裁は承諾殺人罪を適用した一審判決を破棄し、審理を釧路地裁に差し戻しました。
起訴状などによりますと網走市の無職・片桐朱璃被告はおととし5月、帯広市内の駐車場で元同僚の高校教師の女性の首をシートベルトで締めて殺害し、林の中に遺体を捨てた罪に問われていました。
一審で釧路地裁は女性が「片桐被告も死ぬことを前提に自分のみが死んでしまう可能性も認めた上で殺害されたことは払拭できない」として殺人罪より罪の軽い承諾殺人の罪で、懲役6年6カ月を言い渡しました。
一審判決に対し検察側は「被害者は一緒に死ぬことを前提に殺害を承諾したが、片桐被告に死ぬつもりはなかった」などとして殺人罪の適用を求め控訴していました。
11日、札幌高裁は「被害者の心理状態など客観的状況以外の考慮すべき事を検討することなく結論を導き出したもので不合理」だとして一審判決を破棄し、釧路地裁に審理を差し戻しました。
先月行われた控訴審の初公判で検察側は「被害者は被告も一緒に死ぬものだと思っていて、事実を誤認した」と主張。弁護側は一審判決の維持を求めていました。
11日、札幌高裁は「被害者が抵抗しなかったことを前提に、自分だけ死ぬことを認めた可能性があるとするのはその前提を欠くか論理が飛躍している」、「被害者が置かれていた状況やその心理状態、それまでの被害者の行動傾向など総合的に検討すべきである」として釧路地裁に審理を差し戻しました。