学校事故の「基本調査」、文科省にも報告 再発防止へ新指針案
毎日新聞 2024/2/27(火) 18:54配信
文部科学省は27日、学校で起きた子供の死亡事故などの対応指針について改定案を明らかにした。国が前面に立って、全国で繰り返されている学校事故の原因を究明し、再発防止につなげるため、教育委員会に対し、事故の発生後に学校がまとめる「基本調査」を文科省に報告することなどを求める。現指針では教委への報告にとどまっている。年度内に新指針を都道府県教委などに通知する。
学校では、子供が窓から転落したり、部活動中に熱中症になったりして死亡するなどの事故が起きている。
2016年に策定された現指針では、学校は登下校中を含め、子供の死亡事故が発生した場合、教委を通じて国に一報を入れた上で、「基本調査」をまとめ、教委に報告するとしている。教委は必要に応じて第三者による「詳細調査」を実施し、結果を国に提出すると定めている。
文科省によると、国に一報があった死亡事故は16〜22年の7年間で141件。だが、23年夏に実施した都道府県・政令指定都市教委への調査では、5・9%が「報告していないものもある」、29・5%が「全て報告しなかった」と答えており、全ての事故の背景を把握できず、教訓を生かせていない現状が浮かんだ。
文科省が27日の有識者会議で示した新指針では、毎年度、教委に「基本調査」の報告も求めることで、国への一報がなかった事故の詳細も把握する狙いがある。また、国への一報の対象として、死亡事故だけでなく「意識不明など命に関わる重大事案」も含めることにした。【朝比奈由佳】