「高級ラウンジで働きませんか」 「時給5000円からスタート!」 男たちはJR恵比寿駅(東京都渋谷区)の駅前を歩く若い女性たちに、こう声をかけしつこくつきまとっていたという――。 警視庁生活安全特別捜査隊は1月21日までに、都迷惑防止条例違反の疑いで港区に住む無職・小西亮容疑者(23)ら男6人を逮捕した。恵比寿駅前の路上で、複数の女性に風俗店で働くようしつこく勧誘したという。 「逮捕容疑の事件は、昨年8月から11月にかけて起きました。通行中の女性たちに、キャバクラなどの従業員になるよう執拗に話しかけたそうです。中には100m超つきまとい勧誘したケースもあったとか。逮捕された6人のうち、小西容疑者ら2人は『覚えていない』と否認。残る4人は容疑を認め次のような供述をしているそうです。『恵比寿はキレイなコがいてスカウトしやすいと思った』と」(全国紙社会部記者) オシャレ街・恵比寿では、「スカウトに声をかけられ恐い思いをした」などという警察への相談が相次いでいる。昨年4月にも都迷惑防止条例違反の疑いで20代の男を逮捕。風俗スカウトが激増しているのだ。 ◆「お客さんはエグゼクティブばかり」 背景には特殊な事情があるという。神奈川県警の元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が解説する。 「かつて風俗のスカウトといえば、新宿などの繁華街がメインでした。しかし警察は新宿、特に歌舞伎町でのスカウト摘発を強化。捜査本部を置いて徹底的に排除しています。スカウトにしても、競争が過剰になった新宿はリスクの大きい地域でしょう。縄張り意識が強くなりスカウト同士の抗争が激化。中には拉致され暴行を受けて重傷を負うトラブルもあり、スカウトたちが新宿から離れているんです」 新宿でスカウトが減る一方、なぜ恵比寿で増えているのだろうか。小川氏が続ける。 「恵比寿は上品なイメージがあり、住民女性たちも多くが高級マンションに住んでいます。恵比寿にスカウトが集まるのは、ハイソサエティな彼女たちの向上心につけ込むテクニックがあるからですよ。『魅力的なアナタは年間1000万円稼げる』『君なら月500は確実』と自尊心をくすぐって。『仕事のない週末だけでも大丈夫』『お客さんも企業のトップなどエグゼクティブな男性ばかり』と安心させることも忘れません。 しかし興味本位でスカウトの話に乗ったら最後です。事務所についてゆくと身分証明書の提示を要求され、顔写真まで撮られてしまいます。実際に働けばノルマがキツイ。『週に2回は客と同伴しろ』などと命じられ、達成できないと一日の報酬以上の罰金をとられるケースもあるんです。借金地獄に陥り抜けられなくなる。スカウトにしつこく勧誘されたら、毅然とした態度で断り警察に通報してください」 警視庁は恵比寿駅周辺でのスカウト行為について、女性たちに注意を呼びかけている。