『NHKから国民を守る党』党首・立花孝志氏(57)が、中居正広氏(52)の芸能界引退を受けて、自身のYouTubeチャンネルで、 「結論から言うと、中居さんはそれほど悪いことをしていないと思います」 と発言した。 「おい、おい、またか」 と言いたくなる人は多いだろう。 ◆竹内兵庫県議が亡くなったことで発信 立花氏がその結論に至ったのは、これまで得た情報から判断したうえで、『週刊文春』の記事の出し方がおかしいからだと主張している。だが、被害女性が反論できないことをいいことに、言いたい放題だ。 「いいかげんにしろ」 という声が多数上がっているが、先日亡くなった兵庫県の竹内英明・元県議(50)に向けた発信も、許されるものではなかった。 竹内元県議が亡くなっているのが見つかった翌日の1月19日に、立花氏は自身のXを更新し、 《竹内議員は、昨年9月ごろから兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました》 と根拠のない情報を発信した。さらに、 《こんな事なら、逮捕してあげた方が良かったのに》 とも続けた。 その後も、自身のYouTubeチャンネルで、 「1月20日に(竹内氏を)逮捕すると県警は考えていたそうだが、それを苦に命を絶ったという情報が入っている。もうこれがほぼ間違いないと思います」 と、再び根拠を示さず発言した。 ◆被疑者として任意の調べをしたこともない 朝日新聞が同日、県警幹部に取材した内容として、竹内氏に関して逮捕予定や任意聴取の事実がなかったことを報じると、今度は、 《うそつき朝日新聞は逮捕や任意の事情聴取がなかったと言っていますが、まったく信用できないと私は思っています》 と、ここでも根拠を示さないまま、報道を“ウソ”と断言している。だが、その後に産経新聞や読売新聞も立花氏の発信した情報を否定。しかしこの2紙に関しては何も語っていない。 立花氏は1月20日にXを更新し、 《警察の捜査妨害になる可能性があるので、竹内元県議の刑事事件に関する、発信は削除させて頂きました!》 と投稿。一部書き込みや動画を削除した。 だが、同20日に開かれた県議会の警察常任委員会で、兵庫県警の村井紀之本部長は 「(竹内氏を)被疑者として任意の調べをしたこともないし、ましてや逮捕するといったお話はありません。全くの事実無根」 と、立花氏のSNSの投稿を完全に否定した。 これを受けて立花氏は、20日午後に日本テレビの取材を受けている状況を動画で配信し、 「今回ね、竹内元県議会議員が自殺した理由が、警察のですね、逮捕が近づいていて、それを苦に自ら命を絶ったということについて、間違いでございました。これについては訂正させていただきます。そして謝罪させていただきます。たいへん失礼いたしました」 と謝罪したが、“これが謝罪といえるのか”という声が上がっている。 デマ情報を取得した経緯について、昨年11月24日に社会的なニュースに詳しい2人から情報を得て、その後、県会議員について詳しい人物に確認したら、 「逮捕の事実はないけど、取り調べは受けてるというような話を聞いて、全く火のないところに煙がないわけじゃなくて、竹内議員はかなり“でっち上げ”をしていたことは多くの人が分かっていらっしゃると思うので」 というのだが、取り調べを受けているというなら、警察に確認するのが筋だろう。今回もまた、聞きかじっただけの話で根拠はない。誰かから聞いた話だけで、断定して発信する姿勢には呆れるしかない。 彼が言う“でっち上げ”とは、斎藤元彦兵庫県知事の公益通報に関する一連の騒動で、昨年7月に亡くなった元県民局長の妻が、百条委員会に送ったメールのことを指している。そのメールが亡くなった竹内議員によって、偽造されたモノだと主張し続けているのだが、これについても何の根拠もない。立花氏とその周辺の人たちが言っているだけだ。 動画では、さらにSNSに溢れた竹内元県議に対する誹謗中傷を立花氏は単なる“批判”と捉えていて、それは多くの国民の正当な批判であるとし、 「(SNSでの誹謗中傷が)名誉毀損にならないことを苦に亡くなられているのであれば、それは自業自得なのかな」 とまで言い切っている。 その先はもっと酷い。 竹内元県議の『逮捕と事情聴取』は県警が否定しているにもかかわらず、 「(竹内元県議が)何も悪いことしてなければ、犯罪という意味の悪いことしてなければ、自ら命を絶つようなことはないと思います。だからこそ僕は何か捕まるんじゃないかって、いうことを信じていました」 と元県民局長の時と同じように“立花ロジック”を披露し、 「この程度で亡くなるんだったら、政治家、本当にやめたほうがいいんですよね」 「政治家をする能力がなかった人、それがまちがって政治家をしはったから、こういう悲劇を生んでしまった」 と言い放っている。これほど死者の尊厳を踏みにじる言葉はないだろう。 ◆奥谷県議は名誉毀損で刑事告訴 この発言を聞いて、まともな人なら、怒りを感じるだろう。竹内元県議の親族は腸が煮えくり返っているに違いない。 立花氏の発信に対し、良識ある人たちは 《妄想がいつの間にか真実に変わってしまう典型的なホラ吹き》 と断じるが、犬や猫に失礼だが、立花氏曰く“犬、猫と同じ。頭の悪い人たち”である氏の応援団は、妄信して、発言をそのまま拡散してしまう。これこそ悲劇だ。 立花氏に関しては兵庫県知事選挙の後に 《何とかならないのか》 《このままにしておくな》 という声が出ていたが、今回の件でさらに大きくなっている。 百条委員会の奥谷謙一県議は、立花氏を名誉毀損の疑いで告訴し、脅迫容疑でも被害届を出している。だが、警察は昨年末に1回、立花氏を事情聴取しただけだ。警察の動きが鈍いと感じている人は多い。 しかし、ここにきて水面下で動きが。在阪テレビ局の報道記者によると、 「これまで県警の本丸は斎藤知事らによる『オリックス優勝パレードをめぐる補助金還流』を慎重に捜査していて、立花は後回しのようでしたが、今回の件で動き始めるようです。県警本部長自ら、立花の発言を完全否定しました。聞きようによっては『竹内元県議が亡くなった原因が県警にある』とした立花の発言に県警はかなり怒っているようです。 これで一気に潮目が変わり、立花逮捕に向けて動きそうです。逮捕には世論の後押しも必要で、現状世論も『立花を逮捕すべき』に傾いているようにみえます。また警察庁も、健全な選挙のために注視していると聞きました。奥谷県議は名誉毀損で刑事告訴していますが、竹内元県議の親族が訴えれば、そちらも成立するでしょう。年度末までに動きがあるとみています」 と県警の変化を明かす。警察の本気度に期待したい――。 取材・文:佐々木博之(芸能ジャーナリスト)