２４年前、福山市の住宅で主婦が殺害された事件で、殺人などの罪に問われている男の裁判員裁判が３０日から始まりました。 男は、起訴内容を否認し無罪を主張。今後、ＤＮＡ型の鑑定結果が争点となります。 住居侵入と殺人の罪に問われているのは、福山市西新涯町の無職竹森幸三被告（７０）です。 事件があったのは２００１年２月６日。 福山市明王台の住宅で当時３５歳の主婦が刃物で殺害されているのが見つかり、亡くなった主婦の腹部には刃物が刺さったままの状態で、口には粘着テープが貼られていました。 犯人は逃走したまま捜査は難航し、長年未解決事件となっていましたが、２０年後、事件は急展開を迎えます。 ２０２１年１０月別の事件で逮捕された竹森被告が捜査線上に浮上。 殺人の疑いで逮捕されました。 決め手となったのは現場で採取されたＤＮＡ型が竹森被告のＤＮＡ型と一致したことでした。 逮捕からさらに４年…２４年の時を経て事件の裁判が始まりました。 竹森被告は起訴内容について問われると「記憶にないからわかりません」と否認。 検察側は現場に残された血痕のＤＮＡ型が、竹森被告と一致すると指摘する一方で、弁護側は「一部が竹森被告と一致しない」として無罪を主張しました。 ＤＮＡ鑑定の結果が大きな焦点となる今回の裁判。 刑事訴訟に詳しい広島大学大学院の吉中信人教授は、『目撃証言など直接証拠がない中で、竹森被告を犯人だと立証していくのはハードルが高い』と指摘します。 【広島大学大学院・吉中信人 教授】 「ＤＮＡ型鑑定の証拠能力については、ある意味、そこの基準をしっかりやっているということがわかれば、そこ自体の証拠能力はかなり高いと思う。ただ問題は、だからといって殺人を行ったのかというところまで飛びこえていけるかということ。状況証拠などがどれだけそろってくるのか、それを検察側がどういったかたちで提出してくるのかというところに注目していきたい」 ３１日は、ＤＮＡ型鑑定の専門家の証人尋問が行われます。