石川県警は4日、県内の60代女性が、警察官などをかたる特殊詐欺(オレオレ詐欺)の被害に遭い、現金計3億円をだまし取られたと発表した。県内で確認された特殊詐欺の被害額としては過去最高となる。今年に入って被害は後を絶たず、昨年1年間の被害総額(約3億2千万円)を、わずか1カ月ほどで上回った。 県警によると、昨年9月17日、女性の自宅に「あなたの携帯電話から迷惑メールが大量発信されている」と自動音声の電話があった。女性がガイダンスに従って電話すると、総務省の担当者をかたる男とつながり、管轄する石川県外の警察に被害届を出すよう促された。 その後、県外の警察官を名乗る男から電話で「特殊詐欺事件の主犯を逮捕したところ、あなたの通帳が発見された」などと連絡があった。さらに上司を称する男から、インターネットバンキングの利用申し込みと、暗号資産の取引口座の開設を指示された。 翌18日、検察官をかたる男に「犯罪を行っていないことを証明するために、紙幣番号を調べる必要がある」と言われ、自らが開設した口座に送金するよう指示された。女性は昨年10月4日〜12月19日、ネットバンキングで計32回にわたって、総額3億円を振り込んだ。女性が開設した口座は詐欺グループに管理されていたという。 1月7日を最後に、警察官を名乗る男らと連絡が取れなくなり、女性が県警に相談して発覚した。 ●オレオレ詐欺、24年被害3倍超 2024年に石川県内で確認された特殊詐欺は128件(23年比13件増)で、被害総額は約3億2千万円(約9700万円増)だった。このうち、警察官や息子をかたるオレオレ詐欺の被害が約1億7600万円で、23年と比べて3倍超に急増した。 県警組織犯罪対策課の担当者は「電話でお金の話が出たら、一人で判断せず、必ず家族や警察に相談してほしい」と注意を呼び掛けた。