ススキノ殺人裁判 父親が「娘を突き出すことはできなかった」

札幌・ススキノでおととし、男性が殺害され、親子3人が起訴された事件。殺人などを手助けした罪などに問われている父親で医師の田村修被告(61)の8回目の裁判員裁判がきょう、札幌地裁で開かれています。 ススキノのホテルでおととし7月、恵庭の会社員男性が殺害され、頭部を切断された状態で見つかった事件では札幌・厚別区の田村瑠奈被告(30)ら親子3人が殺人などの罪でそれぞれ逮捕・起訴されています。 きょうは午前から弁護側による被告人質問が行われ、黒いスーツ、紺のネクタイ姿の田村修被告が証言台に立ちました。 先月の初公判で父親は「無罪」を主張していて、殺人や死体損壊を助けた「ほう助」の罪が成立するかが争そわれています。弁護側と父親・修被告の主なやり取りは以下の通り。 Q(弁護側) 浴室での娘の損壊行為の撮影を頼まれたときの状況については? A (母親の浩子被告から)「娘から浴室で撮影してほしいと言われたのでお願いします」。おおむねそのような言葉だったと思う。 Q 頭部を見たのはそのときが初めて? A はっきり見たのはそのときが初めてだったと思う。 (中略) Q 何を撮影するかは分かっていなかった? A はい。 Q やめようとは言っていない? A はい。 Q なぜ? A あまりに常軌を逸した状況。「これは(娘に)何を言っても通じないな」と。 Q 撮影を先送りなどもできなかった? A おそらく先送りにしたら私の出張中に浩子にお願いされるのは明白。浩子(被告・妻)にお願いがいかないように(中略)。 ★弁護側は父親の修被告が娘の瑠奈被告の損壊行為を撮影したとされる8本の動画ファイルも文書化して法廷のスクリーンに映しながら質問を続ける。 Q 一番長いファイル6の撮影が始まったとき、作業(娘の損壊行為)は始まっているのか? A すでに始まっていました。 (中略) Q 瑠奈被告と修被告の撮影時のやり取りについては? A たとえば最初のファイルだと(娘の)撮ってほしい素振りを見て慌てて録画をスタート。止めるときも「もういいよ」という雰囲気を感じて「もういいんだな」って止めた。 Q 少なくとも撮影中のファイルに会話は入っていない? A はい。 (中略) Q 撮影時に使っているペンライトは? A 常に私服のポケットに入っているもの。 Q 普段着でも? A 私服の上に白衣を着るスタイルでやっていた。このときも職場から帰ってまもなくのタイミング。ポケットに入っていた。 Q 医療用? A 一般的な診療用のペンライトです。 Q ライトを持ってきてと頼まれたわけではない? A はい。。 Q 浴室内の灯りは? A 普通の白熱灯がついていた。 (中略) Q ちょっと明るくしたのは頼まれたから? A 頼まれてはいない。 Q 自発的に? A はい。 Q なぜ? A (瑠奈被告の)手のひらにピントを合わせようとしたが、(ビデオカメラの)液晶が暗くてピントが合わない。ピントを合わせるためにペンライトをつけた。 Q 瑠奈被告の損壊をしやすくするためにつけたということはない? A ありません。 (中略) Q 瑠奈被告がした遺体の一部の摘出に対して助言などもしていない? A ありません。 Q 自発的に何か教えたことも? A ありません。 Q 被害者の頭部に触れたことも? A ありません。 (中略) Q 動画ファイルの1~8までを通じて瑠奈被告の様子に変化は? A あまり変化はなかったと思う。 Q 「ちゃんと撮れた?」などのやり取りは? A たぶん最後の8(ファイル)のあとに「ちゃんと撮れましたか?」、「ちゃんと撮れましたよ」と。それだけで娘は満足そうな雰囲気だった。 Q 撮影素材などの確認もされていない? A はい。とにかくこれ(娘の損壊行為)が早く終わってほしいという気持ちでした。 Q 瑠奈被告は手伝ってほしかったのか? A 誰の手も借りず1人でやり切ろうとしていたと思う。 Q 娘が望むなら手助けしたいという気持ちは? A ありません。 (中略) Q 娘が逮捕されるまでの感情は? A なるべく警察が来ないでほしいとは思っていなかった。早く来てくれれば(損壊行為なども)早く終わると思っていた。 Q なぜ通報しなかったのか? A 瑠奈にとっては私と浩子だけが窓口、身内。その2人が警察に突き出すなんてことはできなかった。親が突き出すとなったら本人は絶望するだろう。被害者ご家族のことを思うと大変申し訳ないですが(警察に)突き出すことはできなかった。 Q でも瑠奈被告は2人を親と思っていないが・・・ A はい。 Q 一定の信頼関係と? A この世で数少ない窓口が私たちだった。 (中略) 裁判は午後も開かれ、検察側による被告人質問などが続く予定です。父親の裁判員裁判は最長で12回とされていて、判決は3月12日を予定しています。

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