〈批判覚悟であえて問う〉民主主義にスキャンダル報道は必須!週刊文春「訂正」騒動に思うこと、訂正できる社会をつくろう

中居正広氏の女性トラブルに関して、『週刊文春』が記事を訂正したことで文春批判が起きている。 文春は、「本記事(12月26日発売号掲載)では事件当日の会食について『X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた』としていましたが、その後の取材により『X子さんは中居に誘われた』『A氏がセッティングしている会の"延長"と認識していた』ということがわかりました」と訂正した。 確かに、フジテレビ職員が当該の会食をセットしたのと中居氏が誘ったのでは、テレビ局の関与の度合いが異なるが、テレビ局がそのような会食を日常的にセットし、今日の基準ではセクハラとされるような会合が行われていたのは事実なのだろう。 誤解を恐れずに言わせていただくと、他の業界の企業でも、女性従業員に、温泉での宴会に浴衣で参加することを強要するとか、取引先との会合でお酌を無理強いするとか、もっと積極的に取引先の接待に女性従業員を侍らせる、取引先に派手な化粧の従業員を連れて行くなどのことはいくらでもあった、ということを、筆者はこれまでに様々な方から聞いたことがある。 芸能界では、それをもっと派手に、恒常的にやっていたのだろう。多くのマスコミが、他の日本企業でも似たようなことはやっていたと報道しないのは、藪蛇になりかねないからだろうが、『日本経済新聞』が「接待セクハラに企業責任」という記事を掲載したのは立派である(2025年2月3日)。 宴席にいた細マッチョの男性が、「(自分は)脱いだらすごい」と言ったのに対して、同席していたある女性政治家が、「私だって脱いだらすごいのよ」と言ったのを目撃したことがある。筆者は、その時、セクハラ、パワハラ当たり前の政治の世界を生き抜いてきた女性の覚悟にある意味で感動してしまったが、そんなことに感動していてはいけなかった。すでに世間ではそれが「アウト」だと認識するようになっても、芸能界では、そのような慣習が続いていたということだろう。 ハリウッドと言えばセクハラの牙城だったろうが、MeToo運動によってそれはアウトとなった。2017年10月に、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインがセクハラで告発され、18年2月には逮捕された。 ワインスタインは、『恋に落ちたシェークスピア』や『もののけ姫』の英語版、『Shall we ダンス?』のハリウッド・リイメイク版などのプロデューサーである。ハリウッドでアウトなら、日本の企業では当然にアウトだ。そう考えなおす機会はいくらでもあった。 18年4月には、財務次官が、取材していたテレビ朝日の女性記者に対してセクハラ行為を行っていたことが問題になった。次官は、訓戒処分を受け、その月のうちに辞任した。

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