’19年7月からの約5年間で70億円ものカネを受け取っていたという――。 警視庁保安課は2月3日までに、職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで東京都中野区に住む村上裕太容疑者(33)を逮捕した。村上容疑者は、スカウトグループ「アクセス」のサブマネージャーで実質のナンバー2(リーダーの男はすでに同法違反の罪で起訴)。「アクセス」の窓口として、スカウト報酬の管理や女性派遣先の風俗店でのトラブル対応を担当していたとされる。 「逮捕容疑で村上容疑者は、昨年2月から4月にかけ20歳から28歳の女性3人を大分県別府市内の風俗店に紹介したとされます。警視庁は今年1月に特別捜査本部を設置。すでに、村上容疑者を含め『アクセス』の関係者7人を逮捕し摘発を進めていました。警察の調べに対し、村上容疑者は『間違いありません』と犯行を認めています。 『アクセス』には300人ほどのスカウトが所属。SNSなどで女性を募集し、全国46都道府県の約350の風俗店へ紹介していました。『アクセス』は’19年7月からの5年間で70億円もの多額のカネを受け取っていたとか。警察は、スカウトが匿名で流動的に動く『トクリュウ型の犯行』と認識し、資金の流れの全貌を調べています」(全国紙社会部記者) ◆スカウトが都心でなく地方にいる理由 村上容疑者は、風俗店の開拓も担い月に約80万円の報酬を得ていたという。「アクセス」は証拠が残らないように、カネの流れを狡猾に隠蔽していたようだ。 「手口はこうです。出入金記録の残る銀行口座では『アシ』がついてしまいます。そのため、まず架空の会社を立ち上げ。風俗店から、同社の『私書箱』に現金をレターバックで郵送させていたんです」(同前) 本誌カメラマンは、警視庁竹ノ塚署からの村上容疑者の送検を撮影。警察署から出る直前までは真っすぐ前を見ていたが、報道陣の姿を認識すると顔を隠すようにうつむいた。 神奈川県警の元刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が、摘発の背景を解説する。 「風俗店を紹介してほしいと応募する女性の多くは、ホストクラブなどで負ったツケである『売掛金』に苦しんでいます。多額の『売掛金』を払えずホストの勧めを受け、やむを得ず風俗店で働くんです。警察は『売掛金』を強いるホストクラブへの締めつけを強めていました。しかし、いくらホストクラブを摘発しても根本的な解決にはならないんです。 警視庁保安課は、昨夏に課長が交代してから本腰を入れました。ホストが頼るのは風俗スカウトです。最近のスカウトの多くは、新宿や渋谷などの繁華街では活動していません。都心では身元がバレているので、大分や山口などの地方で暗躍。当地の風俗店へ、ホストから紹介された『売掛金』に困る女性を斡旋するんです。そうした一連の流れを根本から断つために、警察は特別捜査本部を立ち上げ悪質なスカウトグループ撲滅に動き始めたのでしょう」 警察は、スカウトグループと組んだ地方の風俗店の摘発にも乗り出している。