八戸市の「みちのく記念病院」 殺人事件を死因「肺炎」の診断書 元院長ら2人を犯人隠避の疑いで逮捕

2023年、八戸市の病院で入院中の男性が同室の男に殺害された事件を隠そうとしたとして、警察は当時の院長ら2人を犯人隠避の疑いで逮捕しました。遺族にうその診断書を渡していたその理由とは。 逮捕されたのは、みちのく記念病院の理事長で当時の院長 石山隆容疑者(61)と、その弟で当時の主治医 石山哲容疑者(60)です。 警察によりますと2人は2023年3月、病院に入院していた男が同じ部屋の男性の顔を歯ブラシで何度も刺すなどして殺害する事件が起きた際、死因を「肺炎」とする診断書を作成して遺族に渡し、事件を隠そうとした疑いがもたれています。 警察はこの診断書に2人が共謀し、病院関係者に死因を「肺炎」と書くように指示して交付させたとみています。 警察は14日朝から病院などを家宅捜索するとともに、2人から事情を聴いていました。2人の認否について捜査に支障があるとして明らかにしていません。 警察が犯行の動機などを詳しく調べています。 【近くの住民】 「肺炎で亡くなったといっていたか、うそだろうと思ったんだ」 (Q.近くの医者が逮捕されたことについて)「隠して隠して隠してっからな、大変なもんだなって」 【家族が入院している人】 (Q.逮捕された驚き)「びっくりしました私、やっぱりここはそういう病院なんだ、みんな前から言ってたんだけどね」 (Q.今回の件で娘を転院させる)「施設探してるの、リハビリさせるの歩けなくなってるから」 「やっぱり… ダメだあの先生は」 (Q.良い印象ない)「ないです、だって面談に応じてくれないし話もしてくれないし」 【病院勤務経験がある人】 (Q.事件を受けて感じること)「二度と同じことが起きないようにしてもらえれば働きやすくなるかなと思います」 事件を詳しくみていきます。警察の司法解剖の結果は「暴行による頭部や顔面の損傷」。一方、遺族に渡された死亡診断書です。死亡原因の欄にははっきりと「肺炎」の文字。さらには、発病から亡くなるまでの期間は「1日間」とされています。 事件発生当時、青森朝日放送の取材に対し殺害された男性の妻はこう明かしています。病院関係者から受けた一報は、「ちょっと転んだ」という内容。死亡診断書を受け取る時は、病院の建物の外で歩きながら看護師から手渡されただけで、経緯の説明は一切なかったということです。 もしも司法解剖が行われず、遺体が火葬されてしまった場合、死因は「肺炎」のままだった可能性もあります。当時の取材に対し、「病院に対しては、不信感でいっぱい」「一連のことについて一切連絡がない」と話しました。 14日の逮捕について遺族は「取材は受けたくない」と話しています。 【坂本庸明記者】 「みちのく記念病院では、最初の事件発生から2年が経とうとしています。しかし、未だに不明な点も多くあります」 2023年3月12日の夜、同じ病室の男に歯ブラシの柄で複数回突き刺さされるなどした当時73歳の男性。病院がこの男性の死亡を確認したのは翌日の午前中でした。この空白の間、何がなされていたのか。警察は、主治医の石山哲容疑者など医師の診察がないまま、看護師による治療がなされたとみているということです。 本来は、医師が出られなければ他の医師を呼ばなければなりませんでした。殺害された男性は本当に適切な治療を受けられたのか。さらに警察に通報があったのは、病院内部の関係者からでおよそ8時間が経過していました。 警察は、2023年4月に虚偽の内容が書かれた死亡診断書を含むおよそ50点を押収し、医師がいない状態で無診察で治療が行われていた疑いや、虚偽の診断書を作成した疑いで捜査を続けていました。 警察は事件の全容解明を進めます。

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