未公開情報を基に株を売却して損失を回避したとして、インサイダー取引の疑いで20日に逮捕された公認会計士の佐久間将司容疑者は、オウケイウェイヴのアドバイザーだけでなく、同社が子会社として設立したファンドの代表も務めるなど、同社に食い込んでいた。敏腕会計士として登用された形だったが、直後から企業買収を巡る別の疑惑も取り沙汰された。 オウケイ社は令和3年ごろ、主力事業の売却で得た数十億円の運用方法を模索していた。そうした中、同社がアドバイザー契約を結んだのが、当時の経営陣の1人と知人だった佐久間容疑者だった。 関係者によると、佐久間容疑者は新たな事業を取り込むため、オウケイ社の企業買収計画を主導。同社は3年12月、佐久間容疑者を代表とする子会社「OKFUND(オウケイファンド)」を設立し、音楽関連会社(東京都港区)を約10億円で買収する。 しかし、買収を巡る意思決定の過程が不透明だったことや、「買収額が不合理に高い」などと投資家らから批判が続出。さらに買収の直後に音楽関連会社から8億円超が海外企業に送金され、回収が不可能になったことも後に判明した。 疑惑に関するオウケイ社の調査報告書によると、音楽関連会社関係者は「(海外送金は)佐久間容疑者の指示だった」と証言。佐久間容疑者は「オウケイ社の海外事業のための送金だ」などと説明していたという。 オウケイ社の関係者は「当時の経営陣は買収案件について、(佐久間容疑者に)いいようにやられていた印象だ」と話した。(桑波田仰太、久原昂也、星直人)