第48回日本アカデミー賞の授賞式が3月14日、グランドプリンスホテル新高輪にて開催。『正体』(公開中)で横浜流星が最優秀主演男優賞を、吉岡里帆が最優秀助演女優賞を、藤井道人監督が最優秀監督賞を受賞した。 吉岡は現在、令和6年能登半島地震復興祈念の舞台「まつとおね」に出演中でオンラインでの参加となったが、お互いに「恩人」「兄弟」と紹介し合う盟友同士の横浜と藤井監督は、会場で互いに目を見合わせ、最優秀賞の喜びをわかちあった。 『正体』は染井為人の同名小説を実写化したサスペンス映画。横浜は、日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けたが脱走し、潜伏を続ける主人公の鏑木役を熱演した。吉岡は鏑木を助けて一緒に暮らし、彼が指名手配犯だと気づくも、彼の無実を信じる沙耶香役を演じた。 横浜は「本当にありがとうございます。藤井道人監督とは出会って10年になります。5年前に自分は(『愛唄 -約束のナクヒト-』で)新人賞を受賞し、藤井さんは『新聞記者』で最優秀作品賞を獲りました。その時、自分は心の底から喜び、一緒にこの場に立ちたいと思いました。それから今回、主演男優賞で、藤井組で、この場にいられていることに大きな意味があります。自分のなかでこの受賞は、本当に『正体』の仲間たち、この作品を愛してくださった皆様、そして自分に投票してくださった方々のおかげだと思います」と喜びを口にする。 さらに「自分は本当に芝居は上手くないですし、人間としても遊びもなく、頑固でつまらない人間です。それを誰よりもわかっているから、毎日芝居のことを考えて、作品命で、大袈裟かもしれないんですけど、本気で身命を落とす覚悟で向き合ってます。なんかその向き合い方が少し認めていただけたような気がして、励みになりました。若輩者ですが、映画業界のさらなる発展のために尽力してまいります」と力強く宣言した。 続いて最優秀監督賞を受賞した藤井監督は「このような賞を本当にありがとうございます。今日、皆様の、映画人の先輩、仲間たちのコメントを聞いて、素敵だなと思いながら、みんなが『楽しい』と言っていたことがすごく自分の心のなかに刺さりました。映画の現場を楽しまなきゃいけないし、その場を作るのは自分の責任だなとも強く思いました。なので、この賞はすごくうれしいですし。ただ、これをいただけたのは本当に仲間たちのおかげですし、これからもインディーズスピリッツで映画を作り続けたいですし。感謝の気持ちを忘れず、楽しい映画の業界を作っていけるように頑張ります」と語った。 授賞式は『怪物』(23)で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、羽鳥慎一が司会を務めた。授賞式の模様は同日21時より日本テレビ系(全国29局ネット)で放送された。 文/山崎伸子