(CNN) トランプ米政権は15日、移民の送還を加速させようと、戦時下に大統領権限での外国人追放を可能にする「敵性外国人法」の適用を発表した。だが数時間後、首都ワシントンの連邦地裁が送還の一時差し止めを命じた。 敵性外国人法は1798年に制定された。外国との戦争中や、外国から侵略を受けた場合、またはその恐れがある場合を想定している。 トランプ政権は15日、外国テロ組織に指定されたベネズエラのギャング組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーが米国に不法侵入し、米国に「不正規戦争」を仕掛けたり、敵対行為に従事したりしているとして、同法の適用を主張。対象者をただちに逮捕し、国外へ退去させるよう命じた。 その発表の数時間前に、米NPOの自由人権協会(ACLU)とデモクラシー・フォワードが急を要するとして介入し、連邦地裁に申し立てた。地裁は対象とされた5人の請求を認め、差し止め命令を出した。原告側からの情報によれば送還の便がすでに出発しているとして、対象者を乗せた航空機はただちに米国へ戻るよう命じた。 命令は14日間有効で、裁判所が延長を命じる可能性もある。司法省はワシントン連邦高裁に不服を申し立てた。 ニューヨーク大学のブレナン司法センターによると、敵性外国人法は過去に3回適用された。いずれも戦時下で、ドイツやイタリア、日本などからの移民を収容、追放する根拠となった。 ACLUは、トレン・デ・アラグアのメンバーによる犯罪行為は侵略の定義に当てはまらないと主張している。