「検察なめんなよ」取り調べ違法性争点 プレサンス国賠訴訟 21日に中間判決

学校法人の土地取引を巡る業務上横領事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」元社長、山岸忍氏(62)が逮捕や起訴などの違法性を訴えた国家賠償請求訴訟で、大阪地裁(小田真治裁判長)は21日、国の賠償責任の有無を示す中間判決を言い渡す。事件で関係者を取り調べた検事が付審判請求により刑事裁判の被告とされるなど問題の波紋はなお収まっておらず、検察の一連の捜査が違法と認定されるか注目される。 ■検事が刑事被告人に 焦点は、山岸氏の元部下と学校法人の元理事に対する検事2人の取り調べだ。元部下と元理事はいずれも有罪が確定。取り調べでは山岸氏の「共謀」を認める供述をしたが、山岸氏の刑事裁判では当該調書の証拠採用が見送られたり、信用性が否定されたりした。 「反省しろよ。少しは」「検察なめんなよ」 国賠訴訟では2度にわたり、元部下を取り調べる田渕大輔検事の録音録画映像が法廷で流された。ときに机をたたきながら詰問する様子は、原告側に「きわめて異常」と評されるほど。訴訟とは別に、大阪高裁は昨年8月、この取り調べ時の言動が特別公務員暴行陵虐罪に当たる疑いがあるとして、田渕検事を刑事裁判にかける「付審判」の決定をした。 検察官の付審判決定は初めてで、山岸氏側は「違法な取り調べで作り出した虚偽供述で山岸氏を立件したのは言語道断」と批判。一方の国側は、元部下が公判でも山岸氏の「共謀」を認める供述を維持したことから「取り調べの言動は不当な影響を与えていない」と反論する。 ■異例の進言も 訴訟では、田渕検事や事件の主任検事だった蜂須賀三紀雄検事ら捜査に携わった4人を証人尋問。そのうち元理事を取り調べた男性検事は山岸氏の逮捕当日に「待ったほうがよい」と蜂須賀検事に進言していたことを明かした。 元理事は一時、山岸氏の関与をほのめかしたが、山岸氏の逮捕直前に供述を撤回した。男性検事の進言はこれを受けたものだったが、山岸氏は当初方針通り、その日に逮捕された。 山岸氏側はこうした進言は異例だとして「証拠構造の重要な変化があったのに逮捕を強行した」と違法性を強調。対する国側は、男性検事はあくまで慎重な対応を求めただけで、山岸氏の関与を疑っていたことに変わりはないとして「進言は起訴の合理性を否定するものではない」とする。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする