実録!言葉巧みに不安をあおる…警察官などかたる特殊詐欺の電話音声 警視庁が公開

今年=2025年に入ってからわずか2カ月の間に、東京都内では特殊詐欺被害が659件も発生しています。そのうちおよそ6割がいわゆる「オレオレ詐欺」で、続いて、未払い料金などをメールやSNSで通知する「架空請求」、そして「還付金詐欺」が続いています。被害総額はおよそ46億4600万円で、前年同時期の被害額=およそ10億8000万円に比べると、金額ベースで4倍以上に増加しています(※データは全て2025年2月末時点)。また、最近は警察官をかたって金銭をだまし取る手口も増えています。警察官などをかたる特殊詐欺の音声データを、警視庁が公開しました。 公開された音声は沖縄県に住む男性が2023年、現金およそ3200万円をだまし取られた際の電話のやりとりです。 被害者となった当時75歳の男性が電話を取ると、総務省の総合通信基盤局を名乗る男が「個人情報が悪用されている」として、警察に相談をするよう呼びかけます。総務省・総合通信基盤局を名乗る男は「はい、こちら総合通信基盤局。自動音声を聞いたということですか」「名義になっている携帯電話から不特定多数の方に迷惑メールが送信されていると問い合わせがあった」と畳みかけます。さらに男は「(警察に)事情を説明してもらって、(遠方に住んでいて)被害届は渡しに行けないと伝えてほしい」と、親切を装って話を誘導します。 そして電話口は音声ガイダンスに切り替わります。自動音声によって「ただ今、緊急通報ダイヤルを通じて所轄の警察署に電話を転送しています」と、通話先が切り換えられたかのように装われた音声が流れると、電話は「深川警察署のマツイ」と名乗る男に取り次がれます。マツイと名乗った男は「深川警察署。基盤局…、個人情報露出…、なるほど」などともっともらしい言葉を口にした後「口座は逮捕された組織犯罪グループに使われていたようだが(既に逮捕されている)主犯の証言と現場の物的証拠から、検察官はあなたを容疑者としている」と話しました。 マツイは被害男性に対し、犯罪グループの共犯の疑いがあると迫り、不安をあおった上で、犯罪に関与していないならば捜査に協力するよう訴えました。“警察署のマツイ”を名乗る男は「第三者には絶対に言わないでください」と言葉巧みに誘導し、銀行口座が犯罪に利用されている可能性があるなどとして預金を別口座に移させ、男性から現金およそ3200万円をだまし取ったとみられるということです。

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