オウム後継「アレフ」で進行する“弱体化” 「悪化する資金繰り」と幹部の離脱

オウム真理教の信者が地下鉄にサリンをまき、史上最悪の宗教テロを引き起こしてから30年が経過した。麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の教えを今も忠実に守り続けているとされるのが、後継団体「アレフ」だ。近年は、団体規制法(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律)に基づく活動制限で運営の資金繰りが悪化し、組織の弱体化が進むなか、麻原ファミリー介入も取り沙汰される。追い込まれた教団はかつてのように潜在化、先鋭化の道をたどることになるのだろうか。 * * * ■現在の信者は約1600人 オウム真理教は、1995年の地下鉄サリンを含む一連の事件の後、現在はアレフ、「ひかりの輪」、「山田らの集団」に分裂している。公安調査庁によると、信者数は全体で約1600人、施設は15都道府県に30カ所ある。ひかりの輪の約120人、山田らの集団の約30人を除けば、そのほとんどはアレフに所属している。 ひかりの輪はオウム教団最高幹部の一人だった上祐史浩氏がアレフから独立する形で2007年に立ち上げた。上祐氏は一時期アレフの代表だったが、教団の運営方針に「脱麻原」を掲げたことで麻原家の反発に遭い、信者62人を引き連れて脱会、新組織を発足させたとされる。山田らの集団は15年ごろ運営方針の対立からアレフとは距離を置いた金沢市を拠点とするグループ。名称は公安調査庁による呼称だ。 公安調査庁は3団体についていずれも「依然として麻原の影響下にあり、現在も当時の危険な体質を有している」としているが、なかでも麻原元死刑囚の遺影を施設内に掲げ、その教義を忠実に引き継いでいるアレフの動向には最も注視する。かつてのオウム真理教のように、社会から孤立し、麻原元死刑囚の教えを実現するために先鋭化する恐れがあるとみているからだ。 ■麻原ファミリーの位置づけ そのアレフ。公安調査庁などによると、現在の指導体制は幹部による合議制で、合同会議が定期的に開かれており、その時々の代表者は2人1組の共同幹事による輪番制になっているのだという。教団にはオウムの時代から、その地位を上位から尊師、正大師、正悟師、師、スワミ、一般サマナなどと分けている。現在のアレフのなかで最高位にあるのは正悟師1人。その直下の師は20人前後いるとみられるが定かではない。それらの幹部が合同会議を運営するが、中心となるリーダー的存在はいないという。

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