オウム真理教の枢要な幹部で、事件後は麻原家との路線対立でアレフを脱会、あらたな組織「ひかりの輪」を運営している上祐史浩代表。事件から30年を機に話を聞くと、アレフ内に異変の兆しを感じているといい、「オウム的なものの根絶に努めていきたい」と繰り返した。 * * * ――団体規制法(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律)に基づく観察処分が継続しています。アレフと同様に、ひかりの輪も2007年の結成当初から対象団体となっていることをどう考えますか。 単純に無理解。昔のイメージで我々を見ていて、現状をまともに理解していません。「麻原隠し」と言って、我々が心の中で麻原をまだ信仰をしているという魔女狩りのような主張です。根拠はこじつけばかりで、例えば、仏教心理学を教える教室の講義で釈迦(しゃか)や弥勒の話をすれば、オウム真理教と同じ話だとするレベル。観察処分が始まった2000年の状態・構図をそのまま維持したいという官僚独特のオールドタイプの思考・姿勢です。半面、アレフの動きなど、新たな問題が発生しているところには機敏に対応できておらず、自分の価値を下げてしまっているように思います。 ――処分の対象であることによって、どのような不利益を感じていますか。 やはり社会に与えるイメージです。普通の人は、30年前のオウムのことは報道で分かっていても、最近のことは分からない。公安調査庁の言うことをそのままに、我々の団体の心証形成として用いれば、常にそういう目で見られ、不必要な反対運動や反対意識が形成されます。団体の目指す社会融和を妨害する結果を招いているんじゃないかと思います。 ――公安調査庁や警察庁は、「脱麻原」を偽装していると認定しています。 それって、本来は憲法上、やってはならないことだと思います。人が分からない他人の内心を断定し、内心の自由の侵害にもなる。我々がアレフのように、公然と麻原を信仰し、オウム被害者への賠償もやらない、というように行動を見て判断するなら分かるが、公安は内心を勝手に推測・断定する。25年続けている賠償の贖罪などの行動で判断いただきたいと思います。