「普通は人生壊される」 無罪の元社長が知った検察捜査、きょう判決

大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪となった不動産会社元社長の山岸忍さん(62)が国に賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は21日、賠償責任の有無のみ先に示す「中間判決」を言い渡す。大弁護団で闘えるのはたまたま資金があったからで、「普通は人生を壊される。それでいいのか」と山岸さんは問いかける。 国家賠償訴訟を起こしたのは3年前の2022年3月。検事の取り調べと逮捕・起訴の違法性が主な争点となった。 検察側は「山岸さんも共犯」とする元部下の供述を有罪立証の柱としたが、その供述を覆そうとした元部下に対し、検事が「検察なめんな」などと怒鳴り続けていたことが取り調べ映像で発覚。無罪の決め手となった。 その暴言映像は国賠訴訟の法廷で再生され、さらに現職検事4人が証人として出廷。「逮捕は待ったほうがいい」という現場の進言を受けながら、主任検事が逮捕に踏み切った経緯も明らかになった。 19年12月に逮捕され、山岸さんはゼロから育てた「プレサンスコーポレーション」の社長を辞任した。その後、27人の大弁護団で関係者の取り調べ映像を分析して無罪を勝ち取り、検察の問題をあぶり出した。 「普通は無罪になっても人生がつぶれる、と弁護団の一人から言われた。でもそれでいいのか。世間に関心を持っていただかないと、検察は変わらない」 中間判決は21日午後2時から言い渡される。(戸田和敬、山本逸生) ■【プレサンス事件】 大阪地検特捜部が2019年に摘発した業務上横領事件。学校法人の元理事長が不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さんの元部下らと共謀し、法人の土地売却益から21億円を着服したとして有罪が確定した。山岸さんも共謀したとして逮捕・起訴されたが、大阪地裁が21年に無罪とし、確定した。

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