大阪地検特捜部捜査の違法性認めず、無罪確定のプレサンス元社長の国賠訴訟 大阪地裁

学校法人の土地取引を巡る横領事件で大阪地検特捜部に逮捕、起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」元社長の山岸忍氏(62)が国に約7億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の中間判決が21日、大阪地裁であった。小田真治裁判長は「特捜部の立件判断は全く不合理とまではいえない」として、国の賠償責任を否定する判断を示した。 国の責任が認定された場合は賠償額を算出する審理に移行したが、否定されたため、中間判決がそのまま請求棄却の1審の終局判決となる。 この問題では、山岸氏の元部下の取り調べを担当した田渕大輔検事が、「検察なめんなよ」などと長時間にわたって詰問していたことが判明。特別公務員暴行陵虐罪の疑いがあるとして、刑事裁判にかける「付審判」の決定がすでに出ている。 特捜部は、山岸氏の元部下と学校法人の元理事が逮捕後の取り調べで、山岸氏の関与を認めたことを証拠の柱として山岸氏を立件。しかし、刑事裁判では供述の信用性が否定され、大阪地裁は令和3年10月、山岸氏を無罪とした。地検は控訴せず、無罪判決が確定していた。 国賠訴訟で山岸氏側は、田渕検事の取り調べを「(捜査側の)見立てにあわせて供述を強要する、検察庁の体質の表れ」と批判。「脅迫的な取り調べで供述を誘導した『作りあげられた冤罪(えんざい)』。組織的な不正だ」と訴えた。 一方、国側は田渕検事の取り調べは「不当な影響を与えていない」と反論。「起訴時点で山岸氏が事件に関与した疑いがあったことは明らか」として違法性を否定していた。 訴訟では、田渕検事の取り調べの録音録画映像が2回にわたり法廷で流されたほか、田渕検事や主任検事だった蜂須賀三紀雄検事ら捜査に携わった検事4人の証人尋問が行われる異例の展開となった。

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