横領事件で無罪が確定した不動産会社の元社長。国に賠償を求めて裁判を起こしていましたが、訴えは認められませんでした。 『プレサンスコーポレーション』の元社長・山岸忍さん(62)は、学校法人の土地取引をめぐる巨額横領事件に関与したとして、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されたものの2021年に無罪が確定しました。 山岸さんは「関係者に虚偽の供述を強要した結果なされた違法な逮捕・起訴だった」として、7億7000万円の賠償を求めて国を提訴。 裁判では、田渕大輔検事(52)が山岸さんの部下だった男性を取り調べた際の映像が提出されました。 取り調べが始まる前、部下の男性は自らの関与や山岸さんの関与を否定していましたが… 【田渕大輔検事の取り調べ】 (田渕検事)「(机を1度たたく)ウソだろ。今のがウソじゃなかったら何がウソなんですか」 (当時の部下)「事実は実際に、何も変えて言ってるわけではないので」 (田渕検事)「変えてるじゃないか!!思い切り変えてるだろうが!!変えてるだろう!!」 (当時の部下)「自分の考えで…」 (田渕検事)「変えてるじゃないか!!いい加減にしなさい!!」 さらに、権力を振りかざすような脅迫的な言葉が並びます。 (田渕検事)「お試しで逮捕なんてありえないんだよ。俺たちは、そんないい加減な仕事はできないんだよ!人の人生狂わせる権力持ってるから!検察なめんなよ!」 一連の取り調べの後、当時の部下は事件への関与を認めたほか、“山岸さんが事件に関与した”とする供述に転じ、それが山岸さん立件の根拠になりました。しかし、その供述の信用性は山岸さんの刑事裁判で否定されました。 裁判ではさらに、別の検事が主任検事に対し、関係者が供述を変えたことを受け「山岸さんの逮捕は待った方がいいと思う」と進言したものの、逮捕が強行されたことも明らかになりました。 しかし、3月21日の判決で大阪地裁は「山岸さんの故意や共謀が認められるとした、当時の特捜部の見立て自体には一定の合理性があるし、山岸さんの関与を肯定した当時の部下の供述を信用できるとした判断も不合理ではなかった」などとして、山岸さんを逮捕・起訴したことに違法性はなかったと判断。賠償請求を棄却しました。 敗訴を受け、山岸さんは次のように述べました。 (山岸忍さん)「こういう判決になるとはまったく思っていませんでしたので、何をしゃべっていいか分からない状態です。きょうの結果を見ると、裁判所は検察官の違法行為を擁護している。こういう状態であれば、この国からえん罪はなくならないと思います。また、第2・第3のプレサンス事件が起こると思います」 山岸さんは控訴する方針です。