米国のドナルド・トランプ大統領が入国審査の厳格化を宣言して以降、同国に入国しようとする外国人を当局が拘留する事例が相次いでいる。これを受け、英国とドイツは米国に渡航する自国民に警戒を促した。 英政府は15日、米国への渡航情報を更新し、米当局の入国規則に従うよう勧告するとともに、「規則を破った場合、逮捕や拘留の対象となる可能性がある」と警告した。英政府のウェブサイトには、2月1日時点では米当局による逮捕や拘留の可能性については一切触れられていなかった。 ドイツ外務省も18日、ウェブサイトを更新し、米国の有効な入国許可証やビザ(査証)を持っていても入国が保証されるわけではないと記載した。その上で、米当局から入国を拒否された場合、決定に対して異議を申し立てる「法的手段はない」と警告。米国での犯罪歴や滞在目的を偽ったり、ビザの有効期限が切れた後にたとえわずかな期間でも滞在を続けたりした場合、逮捕や拘留、国外追放につながる恐れがあるとして、渡米する自国民に注意を促した。 米国家観光局(NTTO)によれば、同国を訪れる英国人の数はカナダとメキシコに次いで多く、昨年渡米した英国人旅行者は約400万人に上った。ドイツからも約200万人の観光客が米国を訪れた。 ■米国で拘留された外国人渡航者の事例 最近、外国人観光客や出張者が米国で拘留される事例が相次いでおり、世界中で大きな話題となっている。現地の入国管理当局から不当な扱いを受けたと訴える拘束者もいる。 英紙ガーディアンは、カナダ人起業家が就労ビザで合法的に米国に入国しようとした際、米カリフォルニア州サンディエゴで2週間拘留されたと報じた。米国の永住権(グリーンカード)を持ち、10代の頃から米国に居住しているドイツ国籍の男性は、米国に帰国した際に拘束され「激しく尋問され、裸にされ、冷たいシャワーを浴びせられた」と証言している。他の2人のドイツ人観光客は、それぞれ2週間と6週間拘留された後、ドイツに強制送還された。うち1人は独房に8日間拘留されていたという。英ウェールズ出身の芸術家(28)は、米国で19日間拘留され、「ハンニバル・レクター(訳注:米作家トマス・ハリスの推理小説に登場する架空の人物)のように鎖につながれて連行された」と語っている。