トルコ政府がイスタンブール市長拘束 続く抗議を大統領は非難

トルコの主要野党指導者で、次の大統領選で有力候補になるとみられているイスタンブールの市長を当局が拘束したことに抗議し、同市内で抗議が続いている。そうした中、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は21日、政府は「公共の秩序の乱れは容認しない」 と抗議行動を非難。「破壊行為」や「街頭テロ」に政府は「屈服」しないと主張した。 トルコ当局は19日、主要都市イスタンブールのエクレム・イマムオール市長を汚職とテロ組織支援の容疑で拘束した。市長は、大統領候補に選出される目前だった。 イスタンブール県ではデモが禁止されているものの、大勢がこの拘束に抗議しデモに参加。20日のデモでは53人が逮捕されたと政府が発表したが、21日にも抗議は続いた。 イマムオール氏は、世俗主義政党の野党・共和人民党(CHP)に所属し、エルドアン大統領の最も強力な政敵の一人とみなされている。拘束された日の数日後には、2028年の大統領選挙の候補者として発表される予定だった。 トルコ政府は19日、イマムオール市長を含む100人余りに汚職などの容疑で拘束命令が出されたと発表した。拘束された中には、政治家のほか、ジャーナリストや実業家ンも含まれる。 イスタンブールでは21日、数千人が抗議集会に集まった。機動隊は大勢のデモ参加者と衝突し、ゴム弾や催涙ガスを発射したとされている。西岸の主要都市イズミルでも衝突があったと言われている。 CHPのオズギュル・オゼル党首は、現地時間21日午後8時半にイスタンブール市庁舎前で3回目の夜間抗議行動を行うよう呼びかけ、エルドアン大統領は抗議行動を恐れていると述べた。 オゼル氏はさらに、トルコ国内のほかの場所でも同じ時間に平和的なデモを行うよう、国民に呼びかけた。 「警察を傷つけずにバリケードを倒し、街頭や広場に出て行動しよう」と、オゼル氏は促した。 当局は19日の市長拘束直後、イスタンブール市を含むイスタンブール県であらゆる集会を4日間禁止すると発表し、街頭デモを抑え込もうとした。 トルコ全土で抗議行動が広がり数万人が集まる中、警察はデモ禁止命令を首都アンカラと西岸イズミルにも拡大した。 21日の抗議に先立ち、エルドアン大統領を支持するイスタンブール県知事は、金角湾の河口から市庁舎まで続くガラタ橋とアタチュルク橋の閉鎖を命じた。 政府のアリ・イェルリカヤ内相も同様にデモを批判し、野党側は「無責任」だと述べた。 さらに、オンライン投稿によって「公衆に憎悪と敵意を煽動する」法律に違反したとして54人が逮捕されたと、内相は明らかにした 。 イェルリカヤ内相はこのほか、デモで警察官16人が負傷したと付け加えた。 イマムオール市長らの逮捕は、野党政治家やジャーナリスト、芸能界関係者を標的としたここ数カ月の全国的な大規模取り締まりを受けてのもの。 野党関係者は、逮捕は政治的動機によるものだと述べている。しかし法務省は、エルドアン大統領と逮捕を結びつける人々を批判し、司法の独立性を主張している。 CHPは昨年4月の統一地方選の際、イスタンブールとアンカラの市長選で圧勝した。イマムオール氏はこの時、イスタンブール市長に再選された。 エルドアン氏が政権に就いて以来、同氏の公正発展党(AKP)が全国的に選挙で敗れたのはこれが初めてだった。エルドアン氏はイスタンブールで生まれ育ち、その市長を経て大統領になった。 エルドアン氏は過去22年間、トルコの首相と大統領を歴任してきた。任期制限があるため、憲法を改正しない限り、2028年に再選されることはできない。 CHPの大統領候補選出は23日に予定されている。党員150万人が投票するものの、立候補者はイマムオール氏のみとなっている。 同党はまた、拘束された市長への支持を示すためにトルコ全土の各地区に投票箱を設置し、国民に象徴的な行為として投票をするよう呼びかけている。 (英語記事 Erdogan condemns Turkey protests as dozens arrested)

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