【03月23日 KOREA WAVE】「可愛すぎる!」 韓国で最近開かれたユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾賛否をめぐる集会では、ペットの犬を連れて参加する人々が目立っている。飼い主たちは愛犬を“デモ隊の一員”のように装飾し、関心を集める一方で、騒音や混雑した環境が犬に大きなストレスを与える可能性があると、専門家は警鐘を鳴らしている。 13日午後、ソウルの憲法裁判所付近で見かけたのは、赤い服に太極旗と星条旗をあしらい、「大統領警護犬」と書かれた名札をつけた愛犬「ヨルミ」。ペット用ベビーカーに乗っているその姿を見て、通りがかりの市民や外国人観光客が「可愛い!」と写真を撮っていた。飼い主の中年男性は「STOP THE STEAL(盗みをやめろ)」「弾劾棄却」と書かれたプラカードをペットカートに掲げ、写真撮影を勧めていた。 7日には、京畿道義王市のソウル拘置所前でも似た光景が広がっていた。ある中年女性は「うちのトビは集会が好き」と誇らしげに語り、愛犬トビを抱きながら太極旗を手にしていた。だが、そのトビは歯のない24歳の老犬で、周囲の喧騒を嫌がっていた様子だった。 さらに1月3日、ユン大統領に最初の逮捕状が執行されようとした時には、警察の制服風のコスチュームを着せた犬が参加者とともに集会に登場。「ミョルコン(滅共)犬が可愛い」と話題になった。ただ、その日はソウルの最低気温が氷点下5度で、犬は震えていた。 一部の集会参加者は、犬の名前札に「時局がこうだから一緒に来た、弾劾に行こう、ワン!」と書き込んだ写真をSNSに投稿している。 ◇専門家「騒音と環境変化は深刻なストレス」 専門家らは、人間よりも聴覚が敏感な犬にとって、デモや集会の騒音は大きなストレス要因だと指摘する。また、見知らぬ人々が集まる混雑した環境は、犬の不安や異常行動を引き起こす可能性があると警告する。 スカイ動物メディカルセンターのオ・イセ院長は「大きな音に頻繁にさらされた犬は、後に些細な刺激にも過剰に反応し、ストレスを抱えるようになる。重症化すれば食欲不振など行動異常が現れることもある」と指摘する。 富川大学ペット動物学科のキム・ヒョンジュ教授も「人間は自己の判断により、多くの人がいる場所に行く。だが、犬は飼い主の意志によって連れられているだけ。保護されない状況下では強い不安を感じる可能性が高い」と警告した。 獣医師のチェ・テギュ氏は「犬はデモや集会の現場で何が起きているのか理解できないまま大きな刺激を受け、強い恐怖を感じる。これが繰り返されれば、人に噛みついたり、逃げ出したりする危険性がある。集会に犬を連れていくこと自体が大きなストレスであることを認識し、そうした環境は避けるべきだ」と助言している。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News