【独自】尹大統領、2度目の戒厳に言及していた

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が国会による戒厳解除要求の議決後に「まず国会議員を捕らえろと言ったではないか」とキム・ヨンヒョン前国防部長官を叱責しつつ、「非常戒厳を再宣布すればよい」と述べ、戒厳を改めて宣布する意思も明らかにしていたことが、軍関係者らの供述で明らかになった。2度目の戒厳の試みや国会議員の逮捕、国会による戒厳解除の阻止の試みはなかったという尹大統領の主張に真っ向から反する供述だ。 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)非常戒厳捜査タスクフォース(チーム長:イ・デファン捜査第3部長)は昨年12月12日、国軍防諜司令部の幹部のA氏に、非常戒厳時に盗聴防止機能付き電話(秘話フォン)で防諜司の主要幹部らと対話していた団体チャットルームを削除した理由を追及した。これに対しA氏は「国会による戒厳解除の議決後、本当に恐ろしいほど鳥肌が立つことが龍山(ヨンサン)の合参(合同参謀本部)であったのだが、その時、盗聴防止機能付き電話の団体メッセージルームでそのことが共有」されたとして、メッセージ流出を恐れて団体チャットルームを削除したと供述した。 A氏によると、防諜司の団体チャットルームには、国会で非常戒厳が解除された直後の昨年12月4日未明、尹大統領が合同参謀本部の決心支援室(軍の首脳部が安保などについての事案を決意するための会議場)を訪ねてきて、キム前長官に「(大声で)まず国会議員を捕らえろと言ったではないか」と言ったという内容が書かれていたという。キム前長官が「人員が足りなさ過ぎた」と答えると、尹大統領は繰り返し大声で「それは言い訳に過ぎない」、「国会が議決しても明け方に非常戒厳を再宣布すればよい」と述べたことが共有されたという。A氏は公捜処で「合参に派遣された防諜司の要員がパク・アンス前戒厳司令官(陸軍参謀総長)のそばで状況を見守りながら(団体チャットルームに)伝えた内容」だと供述したという。 公捜処は、このことを裏付ける合参関係者のB氏の供述も確保した。B氏は、尹大統領が合参の決心支援室にやって来て、キム前長官に何か言われて尹大統領が「言い訳」、「そう、捕らえろと言ったじゃないですか」、「またやればよい」と言うのを直に聞いたと公捜処に供述した。B氏は、尹大統領の「捕らえろ」という発言は「国会議員らの逮捕指示」で、「またやればよい」は「第二の戒厳宣布を言ったものだと思った」と供述した。 尹大統領のこれらの発言は、決心支援室で尹大統領、キム前長官、パク前戒厳司令官が国会の非常戒厳解除要求議決後の状況を議論した「3者会合」の直前になされたものとみられる。検察の捜査によると、尹大統領は国会が非常戒厳解除要求決議案を可決した後の昨年12月4日午前1時16分ごろ、合参の地下にある決心支援室を訪れた。その時、そこにはキム前長官、パク・アンス陸軍参謀総長、イン・ソンファン国家安保室第2次長、チェ・ビョンオク国防秘書官ら、合参および大統領室の関係者、大統領警護処の職員らがいた。その後、尹大統領はキム前長官、パク総長以外の人物に外に出ろと言っているが、その前に決心支援室の中または周囲にいた軍関係者たちが尹大統領の発言を聞き、その状況を伝えたとみられる。 尹大統領が決心支援室でキム前長官を叱責した後に法令集をあたったのも、2度目の戒厳のためであったことが疑われる。すでにキム・チョルジン国防部軍事補佐官(当時)が検察の取り調べで、尹大統領がキム前長官から国会に500人ほどの軍人が投入されたという報告を聞き、「だから、1千人は必要だと言ったじゃないですか」と言っていたと供述している。キム前長官が答えに窮していると、尹大統領は「それで、これからどうすればいいんだ? 国会法が出ているものがどこかにないか、法令集はあるか」と述べて法令集を探したという。キム補佐官は実務者を通じて法令集を入手して尹大統領に渡し、その後、尹大統領の指示どおりキム前長官とパク総長以外は決心支援室を出た。 国会による非常戒厳解除を阻止する構想もあったという情況もあらわになった。B氏は、国会が非常戒厳解除要求決議案を可決する前の12月3日夜に、パク総長が「国会議員の定足数」と記された文書を持っていたと公捜処に供述した。B氏は「内容をすべて見たわけではないので、どのような意味なのかは分からない」としながらも、「国会の非常戒厳解除決議が定足数に達しないよう検討する方策が書かれていたのではないかと推測する」と供述したという。 チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ [email protected] )

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