昨今、外国人の「不法滞在」「不法就労」が深刻な社会問題となっている。他方で、日本に暮らす外国人が、ある日突然入国管理局によって収容されたり、家族と引き離されて強制送還されたりする現状がある。 外国人に関する事件を数多く手がけてきた指宿(いぶすき)昭一弁護士は、わが国では「在留管理」だけを優先した結果、「外国人の人権」が顧みられていないと指摘する。 本記事では、指宿弁護士が過去に担当した事件のなかから、日本人と結婚したある中国人女性が東京入国管理局によって「偽装結婚」と判断され、退去強制命令を受け、夫と引き裂かれる一歩手前まで至ったケースについて、入管による判断の問題点を解説する。 ※本記事は指宿昭一弁護士の著書「使い捨て外国人—人権なき移民国家、日本」(朝陽会)より一部抜粋し、再構成したものです。(最終回/全5回)