【社説】大統領警護処次長に対する令状棄却、納得できない

大統領警護処のキム・ソンフン次長とイ・グァンウ警護本部長に対する拘束令状が棄却された。理解しがたい。裁判所が発付した尹大統領に対する逮捕状の執行を阻止した彼らの拘束令状を裁判所が棄却したことは、自ら司法府の権威を崩したも同然だ。しかし、今回の令状棄却が無罪を意味するわけではないのは言うまでもない。警察は捜査にさらに万全を期して、彼らが相応の処罰を受けるよう最善を尽くさなければならない。それが「12・3内乱」事態以来、100日が過ぎたにもかかわらず、内乱首謀の容疑者が依然として大統領官邸に留まる奇異な状況に終止符を打ち、すべてを元に戻す第一歩になるだろう。 ソウル西部地裁のホ・ジュンソ令状専担部長判事は21日、キム次長とイ本部長に対する拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を行った後、警察の拘束令状を棄却した。容疑の成立に争いの余地があり、証拠隠滅や逃走の恐れもないというのが裁判所の判断だ。ホ部長判事は「今の段階での拘束は防御権を過度に制限すること」だと棄却の理由を説明した。 キム次長とイ本部長は1月3日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する警察と高位公職者犯罪捜査処の1回目の逮捕作戦の妨害(特殊公務執行妨害)、逮捕阻止の指示に従わなかった警護処幹部に対する不当な人事措置、盗聴防止機能つき電話(秘話フォン)の記録削除指示(職権乱用)などの疑いが持たれている。裁判所が発行した逮捕状を無視して頑なに阻止したのを、全国民が(テレビを通じて)目撃した。裁判所の令状をこのように露骨に無視したケースがあっただろうか。どんな「争いの余地」があるというのか。キム次長はその後も大統領室と警護処の家宅捜索を阻止している。「12・3内乱」の捜査のためにも警護処内の「秘話フォン」のサーバー確保が欠かせない。どうして証拠隠滅の恐れがないと言い切れるのか。被疑者の人権を守るために、在宅起訴の捜査原則が強調されるのは事実だ。しかし、その「人権と防御権」はなぜ「力のある者」たちに、何よりも「内乱関連者」たちにだけ最大限に保障されるのか。 検察の対応も理解できない。警察はこれに先立ち、キム次長に対して3度も拘束令状を申請したが、検察はその度に突き返した。ソウル高等検察庁令状審議委員会から指摘を受けてから、ようやく令状を請求した。にもかかわらず、検察は令状実質審査に出席すらしなかった。やむを得ず令状を請求したが、何の意志もなかったのだ。検察は以前にもこのようなことがあったのか。このような検察がきちんと起訴を維持するかも疑問だ。「12・3内乱」捜査全般に対する特検の必要性が高まる理由だ。 (お問い合わせ [email protected] )

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