浜松市中央区舘山寺町の市道で24日に発生した女子児童4人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失傷害)容疑で逮捕された同区協和町の農業の男(78)が、軽トラックを減速させることなく女児の自転車列の後方から突っ込んだとみられることが25日、捜査関係者への取材で分かった。事故時の状況については「分からない」との趣旨の供述を続けているという。 浜松西署によると、同区舘山寺町の小学2年の女児(8)が全身を強く打って死亡し、8歳女児の小学4年の姉(10)が頭などを打ち意識不明の重体。ほかに小学4年の10歳女児2人が足に軽傷を負ったという。 関係者によると、軽トラックは下りの右カーブ区間で道路左側にはみ出し、擁壁に衝突した。目立ったブレーキ痕はなかったとされる。路側帯を走行していた自転車4台のうち、縦列の後方に位置していた8歳女児と姉の2人が、衝突後に車体の下に挟まれたとみられる。 4人は、8歳女児と姉の自宅で一緒に遊んだ後、自転車で外出した際に事故に遭ったという。県警が事故原因を調べている。 地域住民らによると、容疑者は過去に自治会長を務め、明るく社交的な人柄。容疑者をよく知る男性(77)は「8年ほど前に病気で入院したことはあったが、事故の2日前に会った時は元気そうだった」と話した。 県警は同日、容疑を過失致死に切り替えた上で、容疑者の自宅を家宅捜索した。 現場周辺では同日、周辺警察署などの白バイが巡回した。県警は27日までの3日間、県内全域で交通指導や取り締まりを強化する。 ■「許せない」突然の別れ、悲しみ広がる 春休み中の児童を襲った痛ましい事故。亡くなった小学2年の女児(8)は、姉や友達と一緒に遊びに出かけていた最中だった。3年生への進級を目前に控えた時期の突然の別れに、悲しみが広がった。 「『また来るね』と言ってくれた顔が頭から離れない」。取材に応じた女児の祖母は、言葉を詰まらせた。事故前日、近くに住む祖母の元を訪れ、笑顔で別れたのが最後になった。「(容疑者を)許せない。3年生になるところで、人生これからだったのに」と悔しさをにじませた。 事故から一夜明け、現場には同級生や地元の住民が献花に訪れた。 女児の同級生(8)は一緒に遊んだ思い出を振り返り、「クラスは違ったけど明るい子だった」とうつむいた。「あの子は黄色が好きだったと思うから」と自分で選んだ黄色のフリージアの花をささげ、「ゆっくり眠ってほしい」と静かに手を合わせた。