<桐生いじめ訴訟>市など賠償命令 「真実を」両親訴え続け
毎日新聞 2014年3月14日(金)13時48分配信
群馬県桐生市で当時小学6年だった上村明子さん(当時12歳)が2010年10月に自殺したのは学校側がいじめを放置したためとして、両親が市と県を相手取り計3200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決。14日、前橋地裁の原道子裁判長は原告の請求を一部認め、市・県側に450万円の支払いを命じた。
「事実を知りたい」。当時小学6年だった群馬県桐生市の上村明子さんの自殺から約3年半。学校側や市が自殺といじめの因果関係を否定する中、両親は当初から明子さんの実名や顔写真を自ら公表し、「自殺の原因はいじめ」と訴え続けてきた。
学校側は当初、「いじめという認識はなかった」と否定したが、市教育委員会は約2週間後、全児童へのアンケートなどを基に、いじめの存在を認めた。明子さんがクラスで孤立していたことや悪口を言われていたことに加え、在籍していたクラスが学級崩壊状態に陥っていたことを明らかにした。ただし、自殺の直接的原因は「特定できない」とした。
一方、市が事実解明のため設けた第三者委員会は2011年3月、いじめと自殺の関係について「唯一の原因とは判断できず、家庭環境など他の要因も加わり自殺を決意した」との見解を示した。「他の要因」の具体的な言及はなかった。
父の竜二さん(54)によると、明子さんへのいじめは2年前の転校直後から始まり、自殺前には何度もいじめについて相談していたという。しかし、担任教諭は「対処します」と答えるだけだったという。
訴訟を起こしたことについて、周囲から「金目当てでは」と心ない言葉をかけられ、同年11月には栃木県への引っ越しを余儀なくされた。13年7月には、いじめの中心だったとされる元同級生とその母親を相手取り約330万円の損害賠償を求める訴訟を起こし係争中。「娘の無念を何とか晴らしたい」という思いだけだ。
【田ノ上達也】