(朝鮮日報日本語版) 性犯罪歴のある教師、半数は今も教壇に
朝鮮日報日本語版 2014年9月8日 7時39分配信
ソウル市の公立高校に務めるユ教諭は昨年2月、地下鉄2号線の車両内で18歳の女性のスカートをたくし上げ、尻と太ももを約10分間触り続けた。ユ教諭は、女性が他の車両に移動すると後を追い掛け、女性の背中に自分の体を密着させているところを地下鉄捜査隊によって現行犯逮捕された。ユ教諭は、教育庁(教育委員会に相当)から重い懲戒に相当する「停職1カ月」を命じられたが、現在も学校で勤務している。
与党セヌリ党のミン・ヒョンジュ国会議員が教育部(日本の省に相当)から入手した資料によると、ここ5年間で性犯罪を犯し懲戒を受けた教師240人のうち、ユ教諭のように依然として現職に就いているケース(今年6月現在)は115人(47.9%)に上ることが分かった。「性犯罪を犯した教師」の半数近くが今も教壇に立っているのだ。
現行の「児童青少年性保護法」(以下、児青法)では、性犯罪を犯し、刑または治療監護が命じられた者は、10年間学校や幼稚園などの児童・青少年関連機関に勤務できないよう規定されている。教師は、裁判所で禁固以上の刑が確定すれば当然退職となる。教師は刑事処罰とは別に市・道の教育庁から行政懲戒を受けることもある。この場合、罷免・解任となれば教壇には二度と立てなくなるものの、処分が停職・減俸・けん責の場合は教職を維持できる。性犯罪で懲戒処分を受けたにもかかわらず教壇に立っている教師115人も、刑事処罰を受けなかった上に教育庁による懲戒も停職・減俸・けん責にとどまったケースだ。
例えば、全羅北道のある中学校教諭は2012年、生徒に性的暴行を加えたものの、刑事処罰は受けず、教育庁から「けん責」の懲戒を受けた。同教諭は昨年にも女性に対する性的暴行問題を起こしたが、被害者と合意することで不起訴とされ刑事処罰を受けず、教育庁から再び「けん責」の懲戒だけを受け、いまだに教壇に立っている。
性犯罪の前歴のある教師らが学校で引き続き子どもを教えることに対し、保護者たちのほとんどは「絶対反対」の立場を示している。保護者団体「学校を愛する保護者の集い」のチェ・ミスク代表は「性犯罪は再犯率も高いというが、性犯罪の前歴のある教師が学校にいるということは、うちの子どもがいつでも性犯罪に巻き込まれる恐れがあるという意味だ。性犯罪を犯した教師はどのようなケースであっても永久追放しなければならない」と主張する。教師らには他の職業群よりも厳しい罰を適用すべきだ、とする意見も多い。
こうした世論を受け、政府も教師が未成年者を対象とする性犯罪を犯したことが事実と確認された場合は、裁判所で禁固以上の刑が確定しなかったとしても、罷免または解任の措置を取るよう関連法規の改正を進めている。また、未成年者対象の性犯罪で裁判所で刑が確定した教師は、学校だけではなく学習塾など他の教育機関でも働くことができないように教員資格を永久に剥奪する案の立法化も同時に進めている。しかし、一部では「性犯罪は当事者同士の主張が食い違っているため明らかにしにくい部分もあり、無念にも処罰されるケースもあるが、軽い性犯罪を犯した教師まで教壇から永久追放するのはやり過ぎだ」とする声もある。