教諭を戒告処分 フェンシング問題で県教委
大分合同新聞 2015年12月19日
6月にあったフェンシング国体県予選の際、競技判定に不正の疑いがあったとされる問題で、県教委は18日、運営責任者だった別府市内の県立高校の男性教諭(49)を戒告の懲戒処分にした。不審なコードが試合会場で見つかったことから起きた前代未聞の不正疑惑。県教委の聞き取りに対し、教諭はコードに触れたことを認めたが不正は否定。県教委は不正の有無を認定できず、懲戒の中で最も軽い処分にとどめた。大会運営を混乱させた責任を捉えて「教育公務員の信用を失墜させた」と判断した。
県教委教育人事課によると、フェンシング競技は電子機器で勝敗を判定する。ピスト(細長い試合場)と、教諭が座っていた進行管理席の間の床下から、不審なコードが見つかった。試合直後にコードが床下から引き抜かれたため、どうつながっていたかは確認できなかったという。
コードの先端は二つに分かれており、接触させると審判器のランプが点灯しなくなることを当時、県フェンシング協会が確認。県協会は少年男子の予選を無効として7月に再実施した。
同課は問題が発覚した8月以降、関係者から事情聴取するなど調査。試合会場の検証で、問題となったコードを使いランプが点灯しなくなる状況を再現できたという。聞き取りに対し教諭は「コードがあるのは知っていた。何となく触った」と説明し、不正を否定した。
県教委は、教諭が不必要なコードを放置した上、コードに触れたと判断。機器の作動や判定に疑義を生じさせ、予選が再実施される事態になったとして処分した。
藤本哲弘課長は「選手や保護者、県民におわび申し上げる。競技団体などと連携し、再発防止に努める」と話した。
問題となった予選は、6月20日に大分市内の高校で開かれた。県協会は不正に関与したとして、教諭を無期限の追放処分にした。日本フェンシング協会も無期限追放とし、試合会場や練習会場への立ち入りを禁じている。県教委は当初、県協会が処分したことを理由に調査しない考えを示していたが、批判が高まったことを受け方針を改めた。