「過去最悪の教え子」「お前らじゃ就職は無理」深刻な学内ハラスメント、水面下で苦しむ学生
沖縄タイムス 2019/7/18(木) 6:10配信
県内の高等教育機関で教員から学生へのハラスメントが相次いでいる。では6月6日付、では同18日付で教員が懲戒処分を受けた。識者は「評価する教員と、評価される学生が一緒にいる学内では、ハラスメントが起きやすい」と指摘。学生が相談しやすい環境や教員の自覚を促す取り組みが必要と説く。(社会部・榮門琴音)
沖高専で被害に遭った学生はハラスメントが原因で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、復学できていない。同事案で男性教員は停職7日の懲戒処分を受けた。
全国の国立高専を運営する独立行政法人国立高等専門学校機構によると、処分内容は高専機構の懲戒規則に沿って事実確認や量定審査の上、各校で決める。どのような行為があったかによって処分が決まるが、沖高専は「基準は公表できない」としている。学生は、処分が軽すぎるとして6月10日付で学校側に異議を申し立てたが、7月14日現在、返答はないという。
同校の元学生らの証言では、複数の教員によるハラスメントが常態化していた様子も浮かび上がる。問題発覚後、本紙の取材に応じた元学生は「やっと表面化された。どれほどの学生が苦痛を強いられてきたかと考えると胸が痛い」と打ち明けた。
「過去最悪の学生」「お前らじゃ就職は無理」。今回処分を受けた教員による過度な叱責や罵倒は日常的にあったという。元学生は、ほかの研究室でも別の教員に精神的に追い詰められ、体調を崩して、学校を休んだり、退学したりする学生もいたとし、「ハラスメントの実態を多くの教員が黙認しており、適切な対応がされないまま、長い間学生が苦しみ続けてきた」と振り返る。「調査を実施し、第三者の意見も踏まえて学生への指導方法を見直してほしい」と訴える。
県立芸大では学生や非常勤講師、大学関係者へのアカデミック・パワー・セクシュアルハラスメントがあったとして、教員が減給3カ月の懲戒処分を受けた。15年にはセクシュアルハラスメントで男性教授が懲戒免職に。ガイドラインの策定や相談室の設置など再発防止策を取ったが、生かされなかった。
琉球大学ハラスメント相談支援センターの矢野恵美センター長は「単位取得や成績評価、教員によっては就職先にまで影響力を持っていることもあり、どこの大学でも学生は我慢する傾向が強く露見しにくい」と説明する。結果ハラスメントをする教員は処分されず、被害が繰り返される傾向がある。
矢野センター長は「教員は生殺与奪の権力を持っていることを十分意識した上で学生に接しなければならない」と注意を促す。学生が相談できる場所を学内に設けるほか、教員にはハラスメント防止研修の参加を義務付けるなどの対策が必要と指摘した。