受験生312人が修能試験の成績を公開前に確認…管理セキュリティーに穴

受験生312人が修能試験の成績を公開前に確認…管理セキュリティーに穴
朝鮮日報日本語版 2019/12/2(月) 22:47配信

 今月4日に予定されている2020学年度の大学修学能力試験(修能)成績発表を前に、韓国教育課程評価院のホームページで受験生300人以上が成績をすでに確認していたことが分かった。1994学年度に導入された国家最大規模の試験である修能で、成績表が事前に流出したのは今回が初めてだ。修能の出題・管理機関である評価院のセキュリティーシステムに穴があったのではないかとの指摘が出ている。

 今月1日の夜、約16万人の会員を抱える受験生向けのオンライン・コミュニティー・サイトに「修能成績表をあらかじめ出力する方法」という投稿が寄せられた。評価院の修能成績証明書のホームページにアクセスし「開発者ツール(DOM探索機)」のところのウェブページHTML(ウェブページを作成するための基本プログラミング言語)を開き「年度数字」の部分を2020と修正すれば、成績表の発給申請と出力が可能になるというのだ。

 その後、修能の成績を確認したという証拠写真付き投稿が相次ぎ、騒動が拡大した。

 教育部の関係者は「修能成績をあらかじめ確認したことが『業務妨害』に当たるという判断が下れば、法的な検討に入るだろう」とした上で「今回の件については教育部と評価院が責任を負う」と述べた。

■事前流出は浪人生312人…評価院「予定通り4日に公開」

 評価院はこの日「修能の情報システムの点検期間中だった今月1日午後9時56分から2日午前1時32分までの間に、浪人生312人が修能成績証明書の発給サービスに本人認証をした上でソースコードにアクセスし、年度の部分を2020に変更して本人の成績を事前照会・出力した」と明らかにした。

 評価院はこの状況を察知し、同日午前1時33分に関連サービスを遮断した。評価院側は「(修能成績を事前に確認した受験生は)他人の成績や情報は見ることができない構造になっているため、本人に関する事項のみ閲覧したことが確認された」と説明した。

 評価院は当初予定通り、今月4日午前9時から修能成績を提供することを決めた。採点日程に沿って行われる成績データのチェックや進学相談など、高校側のスケジュールを考慮したとの説明だ。事前成績照会者(浪人生)312人についても、予定通り成績を提供する方針だ。

 評価院の関係者は「今回の修能成績照会に関連し、受験生および保護者の皆さまの混乱を招き、ご心配をおかけしたことを深くおわびする」として「修能の情報システムサービスおよび脆弱(ぜいじゃく)な点を綿密に分析し、対策を講じる」と述べた。

■「こうなった以上は前倒しで発表してほしい」…受験生ら反発

 一部の受験生たちは、公平性を理由に修能成績の前倒し公開を求めて反発した。

 インターネットの入試関連コミュニティーサイトやポータルサイトなどでは「早く確認したからといって点数が変わるわけではない」「すでに結果が出ているのならもう発表してほしい」という反応があふれた。「(12月)1日より前に確認した人が明らかにおり、それも何人もいるはず」という推測性の書き込みも見られた。

 とりわけ先週末より前に成績を確認した受験生がいた場合、今年の大学入試にとって大きな変数となる可能性もあるとの懸念が示されている。

 ある高校の進学相談担当教諭は「生徒たちが仮採点を通じてある程度自分の点数を確認していたとしても、先に自身の成績を確認して定時募集(一般入試に相当)への出願に向けた戦略を練った(人がいた)のだとすれば、大きな問題になると考えられる」と話した。

■評価院、昨年に監査院の指摘受けても「セキュリティー」ずさん

 評価院は昨年にも中等教員任用試験でセキュリティーの「無防備さ」を指摘されていたことが分かった。

 教育界によると、監査院は昨年8月、評価院の中等教員任用試験の管理実態を監査した結果「電算セキュリティー管理、試験採点業務など全般的な不適正の事実が見つかった」と指摘した。

 監査院はこのとき「評価院のオンラインシステムの電算セキュリティー管理がずさんだ」とセキュリティー分野について指摘した。

 しかし評価院は、約50万人が受験する修能を主管する公共機関として、基本的なセキュリティー体系すら確認していなかったとの指摘が出ている。

 今年1月、中等教員任用試験の結果が発表された日も、今回と同様の騒動が起きていたからだ。一部の任用試験受験者の間で「採用関連ホームページを『ソースを表示』に変えると、数時間前から科目別の点数と順位を確認することができた」との話が出回った。

 ある入試専門家は「公正性・公平性が担保されるためには、試験の最初から最後まで全ての生徒(受験生)に同じ機会が与えられなければならない」として「政府次元で、国家の管理する各試験に対する全般的なセキュリティー体系を点検すべき」と話した。

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