いじめ加害者の学校立ち入り禁止、校長の権限に 旭川の凍死受け自民提言
北海道新聞 2022/5/22(日) 13:36配信
旭川市の女子中学生が凍死して見つかった問題などを受け、自民党は公立小中学校のいじめ対策として、校長の権限で加害者側の児童・生徒に学校の敷地に入らないよう命じることができる「緊急分離措置(仮称)」の創設を柱とした提言をまとめた。近く文部科学省に提出し、同省は具体的な検討に着手する方針。被害者の安全確保を強化する狙いだが、専門家は「厳罰化だけでは問題は解決しない」として慎重な議論を求めている。
提言は、いじめに厳格に対応するためには「加害児童・生徒を、被害児童・生徒から早期に引き離すことが重要だ」と指摘。義務教育である公立小中学校では、加害者を退学、停学にすることはできない。現在も教育委員会の判断で、加害者の登校を制限する「出席停止」の制度があるが、事前に加害者の保護者から意見聴取するなどの手続きが必須。いじめが原因の出席停止は、2020年度で全国1件のみだ。
緊急分離措置は、心身に被害が生じる重大ないじめが懸念され、加害者に口頭指導や保護者への報告を行っても改善しない場合、校長による「懲戒」処分として、学校への立ち入りを禁じることができる。校長権限で行うため、迅速に対応できる利点がある。禁止期間中、加害者はオンラインで授業を受け、解除は市町村教育委員会が判断する。
提言をまとめた、自民検討チーム座長の三谷英弘衆院議員は「学校内で加害者に会うのが怖いという被害者の声もある。対応に時間がかかる出席停止よりも、校長の判断で、より使いやすい制度が必要だ」と説明する。