11年前の生徒自殺 教員の行き過ぎた指導が背景 遺族が市などに損害賠償の裁判「和解意向」へ

11年前の生徒自殺 教員の行き過ぎた指導が背景 遺族が市などに損害賠償の裁判「和解意向」へ
RCC中国放送 2023/2/7(火) 19:43配信

2012年、広島県東広島市で男子中学生が自殺したのは、教員の行き過ぎた指導が原因だとして、両親が損害賠償を求めていた裁判で、市は和解する意向を明らかにしました。

訴えを起こしていたのは、東広島市立中学校に通っていた、当時2年生の男子生徒の両親です。男子生徒は2012年、複数の教員から相次いで強い口調で叱責されるなどの「指導」を受けた後、首をつって自殺しました。

両親は、学校側が安全配慮義務を怠ったとして、東広島市などに1億1700万円の損害賠償などを求めていました。

東広島市は6日に開かれた協議で「和解勧告を受け入れる意向」を広島地裁に伝えたことを明らかにしました。今後、「和解の決定」については、市議会で審議する予定だということです。

 2012年に広島県東広島市の市立中2年の男子生徒=当時(14)=が自殺したのは、教員による不適切な指導など「学校側が安全配慮義務を怠ったことが原因」として、両親が市などに約1億1700万円の損害賠償などを求めた訴訟が広島地裁で続いている。指導と自殺の因果関係や、学校側が自殺を予見できたかが争点。教員の叱責(しっせき)で子どもが死に追い込まれる「指導死」が全国で問題となる中、7日に地裁と原告、被告側双方の2回目の協議があり、訴訟の行方が注目される。
長期の休み明けに保護者が心がけること
 訴状や尋問での証言などによると、生徒は1年生の時から複数の教員による日常的な指導を受けていた。12年10月の自殺当日、休み時間に美術教材のカボチャを廊下に置いたことをきっかけに、教員4人から相次いで指導された。生徒は教室で涙を流し、「自殺した方がいいんかな」との言葉を聞いた友人もいた。
 生徒が所属していた野球部を指導する教員男性は当日の放課後、「部活をする資格がない」と声を荒らげて練習参加を禁じた。生徒は用具入れのコンテナにこもり、様子を見に来た別の教員男性に「責任を取ります」などとつぶやいた。下校後、公園で自ら命を絶った。
 訴訟で原告側は、生徒に精神的負担を与える指導を重ね、負担を取り除く配慮もないまま、憔悴(しょうすい)した様子の生徒を1人で帰らせたことが自殺につながったと主張。被告側は、指導は教育的効果を見込んだ適切なもので、教員は生徒の自殺を予見できるような事実を知らなかったと反論している。
 提訴から7年。この間、原告側が申し立てた証拠保全や文書提出命令の審理が長期化した。21年6月、最高裁が市に一部資料の提出を命じて決着。損害賠償請求訴訟が再び動き出した。
 ことし8月の証人尋問で、当時の野球部の指導教員男性は練習への参加禁止について「(自分がしたことを)振り返ってから参加してほしかった」と意図を説明。9月には両親の証人尋問があり、閉廷後に地裁は1回目協議として和解の可能性を探ることを原告、被告側双方に投げかけた。

 広島県東広島市の市立中2年の男子生徒(当時14歳)が昨年10月に自殺した問題があり、市教育委員会が設置した第三者による調査委員会が、生徒が自殺した日に教師4人から受けた指導と自殺との関連を認める報告書をまとめたことが、両親への取材でわかった。
 報告書などによると、生徒は昨年10月29日、美術で使うため他の生徒が持ってきたカボチャを校舎内の廊下に置いて遊んでいて、担任や所属する野球部顧問ら教師4人から指導を受けた。生徒は部の練習への参加を許されず、下校後、公園で首をつって自殺した。
 報告書は教師たちが、カボチャを置いたことを否定した生徒に「ウソをついた」などと一方的に指導、「学校生活がきちんとできないなら、部活をする資格はない」と言ったなどとした。

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