二松学舎大、学長の著書・論文を調査へ 他の専門書と酷似指摘

二松学舎大、学長の著書・論文を調査へ 他の専門書と酷似指摘
毎日新聞 2023/6/22(木) 5:30配信

 二松学舎大(東京都千代田区)の中山政義学長(66)が執筆した書籍や学術論文に、他の専門書などと酷似した記述が多数あり、引用部分も明示されていないとの指摘が大学側に寄せられていることが複数の関係者への取材で判明した。中山氏が研究実績としていた著書の存在についても疑義が生じており、大学は近く、外部の有識者も含めた調査委員会を設置して不正の有無を調べる。

 ◇学長「調査に誠実に答える」

 中山氏は大学を通じ、毎日新聞の取材に「学内の調査に誠実に答えていく」と回答。指摘された疑惑については「調査の公正さを担保するため、回答は差し控える」としている。

 二松学舎大などによると、問題が指摘されているのは2017年に刊行、23年に改訂された法学入門書「法学―法の世界に学ぶ―」(成文堂)や、1988〜92年に発表された論文2件。

 入門書は二松学舎大国際政治経済学部の教授らによる共著で、中山氏が執筆者代表を務めた。

 大学関係者の証言に基づき毎日新聞が同書を確認したところ、中山氏が担当した「第6章」で複数箇所が「判例・事例でまなぶ消費者法」(有斐閣、94年)と酷似し、段落ごとほぼ同じ記述もあった。また、「『PL』法こう考えよう―『製造物責任』は世界の常識―」(ダイヤモンド社、92年)と酷似する記述も1カ所あった。

 巻末の「参考文献」に両著の記載があるが、本文中ではカギ括弧を付けるなど引用部分が区別されておらず、注釈もなかった。

 論文で調査対象になっているのは、いずれも中山氏が執筆した「アメリカ会社法における自己株式取得に関する考察」(88年)▽「国際化時代の知的所有権をめぐる若干の考察」(92年)――の2件。他の研究者らの著書や論文と複数箇所で記述が酷似し、1ページ近くにわたり似通っている部分があるとの指摘もある。

 ◇研究業績の「著書」にも疑義

 一方、中山氏は01年、「国際関係序説」という共著書を執筆したと学内の研究報告書に記していた。しかし、学内からその存在を疑問視する声が寄せられ、今も存否が明らかになっていないという。

 二松学舎大は取材に「調査委員会を立てて、そこで公正に判断していく」と説明している。大学のウェブサイトによると、中山氏は国際政治経済学部長や副学長を経て、23年4月に学長に就任した。【平塚雄太】

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