いじめ訴え…13歳の中学生が自殺 ”黒塗り”だった内部資料を市教委が公開 「書かれている内容は真実と違う」と遺族 『資料が第三者委の調査材料となることを危惧』 大阪・泉南市

いじめ訴え…13歳の中学生が自殺 ”黒塗り”だった内部資料を市教委が公開 「書かれている内容は真実と違う」と遺族 『資料が第三者委の調査材料となることを危惧』 大阪・泉南市
関西テレビ 2023/7/19(水) 18:34配信

大阪府泉南市で、いじめを訴えていた男子中学生が自殺したことについて、市の教育委員会が、これまで黒塗りにしていた内部資料を公開しました。

しかし遺族は、「資料には事実と違うことが書かれている」と訴えています。

泉南市立の中学校に通っていた松波翔さん(13)は、小学3年の頃からほかの児童や教師からのいじめを訴え、次第に不登校になりました。

翔さんと母の千栄子さんは、学校や教育委員会などに繰り返し相談してきましたが、事態は改善しませんでした。

翔さんは生前、子どものためのSNSの相談窓口にメッセージを送っていました。

【翔さん生前に送っていたLINE相談】
「教師たちにいじめられ、6年の1年間学校に行けなく、『教育委員会に言っても、教師が教育委員会の人と仲いいから、何言われても平気』と言われる始末。僕らだけつらい思いして、理不尽すぎ」

■ 知りたかった息子が命を絶った理由…しかし資料は”黒塗り”

中学に進学し、心機一転して登校するも、再びいじめを訴え、去年3月、翔さんは自ら命を絶ちました。

なぜわが子は13歳で命を絶たなければならなかったのか。

その背景を知るために、千栄子さんは教育委員会に対し、学校とのやり取りや会議記録を見せてほしいと要求しましたが、去年開示されたのは、ほぼ黒塗りの文書でした。

【泉南市教育委員会事務局・岡田直樹教育部長(当時)】
「これから第三者委員会とか立ち上げていくことになるので、公平公正に進めるというので…今回はすみません」

【母・千栄子さん】
「おかしいじゃないですか、これ、何の書類かもわからないですよ」

ほぼ黒塗りの理由について、教育委員会は「いじめの調査に影響が出るから」と説明。

千栄子さんは、これに対して不服を申し立て、情報開示について審査する市の第三者機関が「黒塗りは適切ではない」と判断し、教育委員会は先週、黒塗りの大半を開示しました。

しかし…

【母・千栄子さん】
「真実じゃないことが書かれているから。もう、でたらめなんです」

開示された文書には、おととし9月に翔さんが教師に対し、上級生から「背中を殴られた」と訴えたことが記されています。

この件について学校は、翔さんや母親とも話した上で、「あいさつ程度のスキンシップであると確認できた」と結論付けていました。

一方で千栄子さんによると、これは9月ではなく中学入学後間もない頃の出来事である上、スキンシップだとは思っていないと話します。

【母・千栄子さん】
「ここが抜けているとか、こんなん私、言っていないとか。もう私の頭の中がおかしくなったのかと思わせるような」

さらに、教育委員会の会議で話された内容など、今なお、黒塗りの部分もあります。

【母・千栄子さん】
「学校、まして教育委員会が間違ったことを言うはずがないって。だから私たちが必死で訴えてもなかなか理解してもらえない。ずっとそれがこの何年間ってあって。不安でしかないですよね」

泉南市は今年1月に市長直轄の第三者委員会を設置し、いじめだけでなく、学校や教育委員会の対応などについても調査を進めています。

千栄子さんは、この資料が第三者委員会の調査の材料になることを恐れ、事実と違う部分を確認しています。

【母・千栄子さん】
「一番の願いは(第三者委員会に)翔に寄り添ってほしいです。私しかおれへんし、今ここで立ち止まったら、何もかもが無駄になってしまう。翔君への罪滅ぼしになるかもしれない。だから、つらいけど戦い続けないと仕方ないかなって思います。だって、たった13年ですよね。本当だったら、もっといろいろ、いい人生歩めたかもしれないけど、こんなところに産んでしまって、こんなところで育てたから。もっとちゃんとしたところで育てたら、こんなことにならへんかったかもしれない」

「なぜ自ら命を絶ったのか」真相を知るために遺族は今も戦っています。

(2023年7月19日 関西テレビ「newsランナー」放送)

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