(朝鮮日報日本語版) フィリピンの韓国人向け語学学校、とんでもない現状

(朝鮮日報日本語版) フィリピンの韓国人向け語学学校、とんでもない現状
朝鮮日報日本語版 2013年1月28日(月)11時22分配信

 2011年、フィリピンの首都マニラにあるD国際学校に留学し、最近帰国したAさん(17)は「毎日が地獄のようだった」と語った。国際学校の寮を運営していた韓国人の男(37)に暴行を受けたためだ。

 元宣教師だったという運営者の男は、11年から昨年末までの約2年間、韓国人留学生5人に対し常習的に暴行を加えたり、わいせつな行為をしたりしたとして、ソウル南部地検に最近逮捕された。検察によると、この男は妻(26)と共に国際学校の寮を運営し、10代の留学生たちに対し常習的に暴行を加えていたという。物事がうまくいかなかったり、ストレスがたまったりするたび「生徒の管理」や「生活指導」などの名目で暴行を加えた。Aさんも被害者の一人だった。Aさんは「角材や鉄パイプで尻を殴られ、転倒すると足で踏まれ、こぶしで顔を殴られたこともある」と話した。

 これだけではなかった。男は生徒たちが寝ている間、性器を触るなど、わいせつな行為に及んでいたことが分かった。生徒たちは寮費を含め、学校側に毎月150万ウォン(約13万円)を支払っていたが、卒業するためには暴行やわいせつ行為にも耐え続けるしかなかった。一部の生徒は顔面を骨折し、韓国に帰国後、精神科の治療も受けた。

 米国や英国などに比べ地理的に近く、費用も安いため、語学留学先として人気が高いフィリピンに最近、韓国人を対象とする国際学校や語学学校が乱立する中、このような問題が相次いでいる。フィリピンの韓国系学校連合会の推計によると、現地で韓国人を対象とする国際学校や語学学校はおよそ170校あるが、そのうちフィリピン政府の認可を得ていない学校はD国際学校を含め50校を超えるという。このように、現地の政府の管理・監督が不十分なことから、暴行などの問題も発生せざるを得ない状況だ。
 フィリピンへの留学生たちが集まるインターネットのコミュニティーサイトでも、被害の事例が相次いで報告されている。ある留学生は「彼女ができたという理由で殴る学校や、1週間に2時間しか外出を許可しない学校もある」と語った。また、現地のあるネーティブスピーカーは「韓国人対象の国際学校や語学学校は、費用を節約するために地価の安い町外れに移転し、教育の質自体が低下している」と話した。

 昨年、韓国消費者院が発表した「海外語学研修をめぐる相談、被害救済」の件数でも、フィリピンは201件のうち69件(34.3%)を占め、2位の米国(30件)の2倍を超えている。その大部分は「授業内容が当初の説明と異なっていた」「寮などの施設が劣悪」といった内容だった。

 11年4月から最近までBさん(19)が通った国際学校もその一つだ。Bさんは毎月100万ウォン(約8万4000円)で語学研修ができるという広告を見て、韓国国内の正規の高校ではなく、この国際学校を選んだが、実情は思っていたのと異なっていたという。Bさんは「ネーティブスピーカーが授業をサボったり、決められた授業時間を守らなかったりするケースが多かった」と話した。また、寮の施設や食事も不十分だった。1坪(約3.3平方メートル)ほどのトイレを9人が共同で使用し、また学校案内には「ホテル級の食事」と書かれていたが、実際にはラーメンで済ますことも多かったという。

 教育科学技術部(省に相当)の関係者は「フィリピンの国際学校や語学学校は現地の政府の認可を得ているため、韓国では認可の把握が困難だ。事実上、制裁措置を講じたり、被害に対する救済を行ったりする手段がないため、語学研修を考えている人たちは事前に現地の情報をきちんとチェックする必要がある」と話した。

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